プロ野球2023シーズン終盤戦の12球団見どころ

最下位低迷の中日で期待したい20発コンビ誕生と21歳右腕 立浪体制「勝負のとき」へ向けた材料を増やしたい

三和直樹

タイトル争いに加われる投手は?

21歳の高橋は球界のエースとなれる能力を持っている 【写真は共同】

 先発投手陣では、4月に左肘のクリーニング手術を受けた大野雄大が長期離脱となった中でも、小笠原慎之介(7勝9敗、防御率3.33)、高橋宏斗(5勝8敗、防御率2.36)、涌井秀章(4勝11敗、防御率4.18)、柳裕也(3勝9敗、防御率2.70)、松葉貴大(1勝4敗、防御率3.28)と面子は揃うが、いずれの投手も負け越している。残り試合でどこまで白星を増やせるか。

 その中で特に期待したいのが、21歳の高橋だ。現在の防御率2.36は、村上頌樹(阪神、防御率1.89)、床田寛樹(広島、防御率2.03)、東克樹(DeNA、防御率2.09)に続いてリーグ4位。今春のWBCも経験した若手ホープが、今秋にさらなる成長を示しながら最優秀防御率のタイトル争いにも加わりたいところ。絶対的エース誕生へ向けて突き進みたい。

 個人タイトルで考えれば、守護神のマルティネスが現在、リーグ2位の28セーブを記録している点も見逃せない。トップの田口麗斗(ヤクルト)とはわずか1セーブ差。今季41イニングでわずか自責点1(防御率0.22)という右腕の2年連続のセーブ王への期待は大きい。

“勝負の3年目”の前に最下位脱出を

 立浪体制1年目だった昨季は、借金9(66勝75敗2分け)でシーズンを終えた。だが、チーム改革での”前進”を目指した2年目の今季は現時点で借金25。結果だけを見ると「後退している」と言われても仕方がない。しかし、その中でも投手陣は奮闘を続けており、課題の野手陣も、前述した岡林に加えて、高卒3年目の龍空や大卒ルーキーの村松開人、社会人ルーキーの福永裕基といった若手、新戦力が経験を積んでいる。

 立浪監督は、今季が3年契約の2年目と言われており、来季が「勝負の3年目」となる見込みだ。その勝負のための材料を、残り30試合を切った中でいかに増やせるか。5位のヤクルトも2.5ゲーム差と手の届く距離にいる。まずは最下位脱出のためにチーム一丸となった戦いを見せてもらいたい。残り1カ月の戦いが必ず、来季につながるはずだ。

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著者プロフィール

1979年1月1日生まれ。大阪府出身。学生時代からサッカー&近鉄ファン一筋。大学卒業後、スポーツ紙記者として、野球、サッカーを中心に、ラグビー、マラソンなど様々な競技を取材。野球専門誌『Baseball Times』の編集兼ライターを経て、現在はフリーランスとして、プロ野球、高校野球、サッカーなど幅広く執筆している。

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