“破天荒”なガンバ大阪は何が変わったのか? 守護神・東口が語るチームの復調とパナスタの魅力

下薗昌記

プレーできる喜びを改めて感じた

今季序盤は先発から外れた時期もあり、もどかしさを感じていた東口 【ⓒGAMBA OSAKA】

――チームとして、東口選手個人としても今季は苦しい時期があったと思います。そこを抜け出せるきっかけになった試合や出来事があれば教えて下さい。

なかなかチームが勝てない時期も、サブメンバーとしてベンチで試合を見ていても、やっぱり試合に出ないと何かを変えられないというもどかしさはすごくありました。やっぱり、試合に出てプレーするのが喜びであり、楽しみなので。こんな素晴らしいスタジアムで大観衆が見てくれているというのは、サッカー選手にとって一番ありがたいことですし、プレーをできる喜びを改めて感じました。苦しい時期には自分の信頼している人とかに話をしてもらうとか、話を聞いてもらっていましたし、そういう周囲の人に僕自身は恵まれているなと思います。

――7月にはガンバ大阪でのJ1通算300試合出場という節目もありました。過去には三冠達成や残留争いなど、いい時も悪い時も経験してきた東口選手が考えるガンバ大阪というチームの魅力を教えて下さい。

すごく簡単に言うと破天荒なチームやなって思います(笑)。いい意味でも、悪い意味でも、周囲の期待を裏切るというか……何か目を離せないチームなところが魅力なんじゃないかなと。悪い時はめちゃくちゃ悪くなるし(笑)、いい時は急に復調して三冠を獲得したし、めちゃくちゃ点を取ったりするところもありますし。今季も最下位だった時期がありましたけど、今は勝ちが続いて好調です。そういうところがガンバっぽいなと思いますし、大阪のノリみたいなモノは感じます。

他では感じられない特別な雰囲気

――パナソニックスタジアム吹田を選手目線で知り尽くす東口選手ですが、観戦する際の注目ポイントや魅力などを教えて下さい。

ゴール裏のサポーターの数もすごく多いですし、観客席とピッチの距離が近いので、プレーしている僕らもサポーターの存在や声援を近くに感じています。そういう臨場感は、実際にスタジアムに足を運んでいただけたら、テレビ観戦するよりも迫力が全然違うと思います。そのスタジアムの雰囲気が一番楽しめるところですね。サポーターの声が僕らの後押しになっていて、試合中しんどい時も走れますし、あと一歩という場面でも足が出るのを感じます。どんどん声を出していただきたいですね。GKとしては相手のシュートを止めた後の盛り上がりも感じますし、沸いてくれるとうれしいし、もっとやるぞって気持ちになります。

――東口選手も負傷やメンバー外の時に観客席から試合をご覧になった経験をお持ちだと思います。観客席から見る魅力を教えてください。

パナソニックスタジアム吹田って外観からしても何か特別な場所に来たなって思わせますよね。毎日の練習には自分の車で来ていますけど、試合の日にチームバスでここに到着すると、同じ建物のはずなのに感じる空気が違うんです。観客が入っていたら、雰囲気が違いますし、海外のスタジアムっぽいというか……説明が難しいんですけど、生きていて他では感じないような雰囲気があって。勝利後にサポーターと一緒にガンバクラップ(勝利後の儀式)をやれるのは選手としても一番うれしい瞬間だし、できるだけその回数を増やしたいと思います。

――リーグ戦もいよいよ終盤戦に入ります。東口選手が個人的に思うところも含めて、今後への意気込みを聞かせてください。

今いいサッカーができている手応えはありますけど、それをもっと結果につなげるようにして、もっと点を取りたいですね。ゴールが入れば入るほど、スタジアムも盛り上がるし、観客にとっても面白いと思うので、そういうサッカーを目指したい。実際に決定機も増えてきましたし、サポーターの方が試合中に沸く回数や雰囲気も変わったなと感じています。僕らが攻撃している時に、点が入るかもって期待を感じてくれているような雰囲気が増えてきましたし、ホームでも勝てる雰囲気が出てきました。

――パナソニックスタジアム吹田での観戦を楽しみにしている方にメッセージをお願いします。

実際に生でサッカーを見るっていうのは、もちろんガンバに対してのイメージも、サッカーに対してのイメージも変わって、皆さんが持っているイメージが色々な意味で書き換えられる場所だと思います。ぜひスタジアムに足を運んでいただいて、色々な雰囲気とサッカーを楽しんでほしいです。そして美味しいスタジアムグルメを食べたり、飲んだりしてより楽しい週末にしてもらいたいです。そして最後に一緒にガンバクラップができたら一番理想的だと思います。

インタビューに応える東口 【下薗昌記】

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著者プロフィール

1971年大阪市生まれ。師と仰ぐ名将テレ・サンターナ率いるブラジルの「芸術サッカー」に魅せられ、将来はブラジルサッカーに関わりたいと、大阪外国語大学外国語学部ポルトガル・ブラジル語学科に進学。朝日新聞記者を経て、2002年にブラジルに移住し、永住権を取得。南米各国で600試合以上を取材し、日テレG+では南米サッカー解説も担当する。ガンバ大阪の復活劇に密着した『ラストピース』(角川書店)は2015年のサッカー本大賞で大賞と読者賞に選ばれた。近著は『反骨心――ガンバ大阪の育成哲学――』(三栄書房)

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