世界ゴルフ選手権(WGC)の終焉と、賞金を増やすだけの取り組みの危険性
WGCの持つ「特別感」が高額賞金だけだったのが消滅の原因?
別の見方として、WGCが高額賞金以外に特別感を持っていなかったとも言えるのかもしれない。
賞金以外でも圧倒的な特別感を持つ4大メジャー
4大メジャーの賞金総額は、マスターズが総額1800万ドル(約25億2000万円)、全米オープンは総額2000万ドル(約28億円)、全米プロゴルフ選手権は総額1750万ドル(約24億5000万円)で、優勝賞金は315万ドル(約4億4100万円)。一方、PGAツアーのフラグシップ大会であるザ・プレーヤーズ選手権は賞金総額が2500万ドル(約35億円)。LIVゴルフは各試合の賞金総額が2500万ドル(約35億円)だが出場選手が48人と少ないため各選手への配分は高い。
PGAツアー基幹試合やLIVゴルフの賞金がどんなに高額であったとしても、4大メジャーの方が注目度は高い。各メジャーは長い歴史を持ち、多くの偉大なゴルファーたちが優勝杯に名を刻んできたからだ。今年もその歴史に新たな名前が刻まれるという名誉を目指して、世界のトップ選手たちが競い合った。
賞金を増やす取り組みだけではWGCの繰り返しにならないか?
今年にマスターズでのジョン・ラームの優勝シーン。賞金だけでない名誉を求めて、世界のトップ選手が戦った 【Photo by Keyur Khamar/PGA TOUR via Getty Images】
高額賞金だけでファンの関心を引きつけたり、大会を準メジャーのような存在にするのは難しい。「シグネチャー大会」の8試合は米国PGAツアーの中でも伝統と歴史を誇る試合が多く、WGCの失敗を繰り返さないことを願うばかりだ。
しかし、スケジュール発表の中で注目すべき点が一つあった。当初、全「シグネチャー大会」で予選カットを行う予定はなかったが、3つの大会で予選カットを導入することとなった。この変更は、WGCとは異なるアプローチとなる。
この3大会は、タイガー・ウッズがホストする「ザ・ジェネシスインビテーショナル」、「アーノルド・パーマーインビテーショナル」、そしてジャック・ニクラウスがホストする「ザ・メモリアルトーナメント」である。これらの大会に予選カットが導入される背景には、タイガー・ウッズなどの影響があると言われている。
これら3つの大会はPGAツアーの中でも長い歴史を持ち、ファンからの支持も高い。賞金の額だけでなく、大会自体の魅力で、これからもファンの心をつかみ続けることを期待したい。