「投の明豊」で激化するエース争い 県勢初の3連覇へ、背番号1を勝ち取るのは?

加来慶祐

「ダブルエース」の他にも個性あふれる投手が控える

 明豊はこのダブルエース以外にも、他チームなら背番号1を与えられていたであろう右腕が控えている。

 チェンジアップ、フォークでカウントを整え、ここぞの場面でキレのあるストレートを突き刺してくる清藤真沙也(3年)。女子バスケットボールのウインターカップ元得点女王に輝いた母を持つ、スライダーピッチャーの杉本天聖(3年)。5月の長崎遠征中に球場スピードガンで150 (実際は147)キロを叩いた、パワーピッチャーの竹本哲太(3年)。さらにフォーム矯正から本来の球威を取り戻しつつあるフォークボーラーの野田皇志(2年)と、ここまでがすでに140キロを超えてきている。しかも、このうち杉本と竹本が5月の県選手権ではメンバー外だ。彼らによるメンバー入りを賭けたハイレベルな争いは、夏直前まで継続されるだろう。

 一方、チームは今年に入って春の九州大会予選、5月の県選手権といずれも4強にとどまり、依然として優勝がない。昨年秋まで県では9大会連続優勝を飾っていた常勝軍団からすれば、屈辱的なシーズンを送っていると言っていいだろう。

「連勝とか連続優勝とかは、あまり意識していませんでした。とにかく“いつもどおり”。目の前の試合に勝つこと。それが明豊の“いつもどおり”なので。まだまだチームになりきれていない部分が多い。そこを真摯に受け止めながら、エースとしてチームを引っ張っていきます」(森山)

「県選手権では負けはしましたが、自分としては“夏はイケる!”という手応えを掴みました。打線は全試合コールド、投手陣は大会無失点。それぐらい圧倒的な勝ち方で甲子園に行きます。もちろん自分がその中心にいたいという思いは強いです」(中山)

 果たして、栄光の背番号1を勝ち獲るのは誰か。現状では頭ひとつ抜け出している森山と中山の争いが激化すればするほど、チームの投手力はアップする。そしてこのふたりに割って入るだけの存在が台頭してくれば、県勢初となる3年連続夏の甲子園がはっきりと見えてくるはずだ。

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著者プロフィール

1976年大分県竹田市生まれ。東京での出版社勤務で雑誌編集などを経験した後、フリーランスライターとして独立。2006年から故郷の大分県竹田市に在住し、九州・沖縄を主なフィールドに取材・執筆を続けているスポーツライター。高校野球やドラフト関連を中心とするアマチュア野球、プロ野球を主分野としており、甲子園大会やWBC日本代表や各年代の侍ジャパン、国体、インターハイなどの取材経験がある。2016年に自著「先駆ける者〜九州・沖縄の高校野球 次代を担う8人の指導者〜」(日刊スポーツ出版社)を出版した。

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