J2最下位の大宮、繰り返す監督交代の先に未来はあるか?

平野貴也

度重なる指揮官交代でチームスタイルが定まらず

監督交代後の初陣となった仙台戦は引き分け。丁寧にパスを回し、得点を奪いに行く姿勢が見られた 【(C)J.LEAGUE】

 監督交代後2日で迎えた5月21日のJ2第17節・仙台戦は、ホームで引き分け。試合終了間際にMF山崎倫のプロ初得点で同点に追いついた。不調の中、速攻頼みになっていたチームは、丁寧なパスをつなぐスタイルに変ぼうしていた。勝利には至らなかったが、ボールを保持する時間が長くなり、相手の攻撃を受ける回数が減るなど、少なからずチームに改善の兆しが見られた。

 原崎監督は「僕の考え方は、自分たちが常に主導権を取りたい。目的はボールをつなぐことじゃない。僕は、ゴールを取りたいです。できるだけ多く。そのために選手がピッチの中で何を判断できるか。材料をトレーニングで与えたい」とショートパスの多用は手段に過ぎないと強調。多彩かつ的確な攻撃を目指す方針を示した。

 巻き返すために、新監督による改善に期待がかかる。ただ、21年途中で指揮を執った霜田正浩監督で攻撃に重点を置き、次の相馬監督で守備の改善を図り、原崎監督に代わって再び攻撃面から着手する流れ。主将の富山貴光は「(低迷は)相馬さんだけの責任じゃない。確実に、僕たち(選手)にも責任はある。球際や攻守の切り替えで、戦っていると伝わるようにすることがまず大事。ボールを奪いに行って、一度外されたら、ああ……っと(落胆する)いう姿が見えるときがある。そんな姿を見せず、当たり前に次を追えるようにしたい」と選手が感じるべき責任、取るべき行動について言及した。

 ただ、「これだけコロコロ変わってしまうと(積み上げが)難しい部分がある。芯となる部分を作ってやることが大切」と、監督交代の繰り返しが生み出す難しさを感じていることは否定しなかった。監督交代に伴い、フィジカルコーチはトップチームとアカデミーで担当者を入れ替え、強化担当の勝野洸平がコーチに加わったが、強化担当の補充は未定。やや混乱している状況にも見える。

原崎体制で負の連鎖を断ち切れるか?

 監督交代で浮上できればOKとは言い難い背景があり、カンフル剤としての期待に戸惑いが付きまとう。しかし、決断が下された以上は、監督交代を未来あるものにしなければならない。DF茂木力也は「相馬さんの下で、球際でバトルすることや相手より走ることは、昨季より積み上がって来たもの。そこにプラスして(原崎監督の目指すサッカーを)やらないといけない。ボール保持がすべてになると、同じことの繰り返しになる。本当によくない流れ。ここで断ち切れるどうか。やるのは選手」と語気を強めた。

 今季加入したDF浦上仁騎は、アカデミー(育成組織)出身でクラブへの愛着が強い。忸怩たる思いと、この先に向けた覚悟を次のように話した。

「これから勝点3を積み重ねていくことで、相馬さんに教わったこともたくさんあったところを僕たちが結果で示して行かないといけない。6連敗をして、毎日が辛かった。これを変えるために、このクラブと一緒に強くなるために来たのに、何も変えられていない。何をしに来たんだ、来た意味はあるのか。自分自身を毎日疑って苦しくて。今も劇的に変わったわけじゃないけど、やり続けるしかない。

 最後、シーズンが終わった時に、やっぱりアイツが来てくれて良かったなって言わせるために、練習からやり続けるしかない。本当に、このクラブのためにすべてを捧げたいと思っている」

 3年連続で5月の監督交代劇。悪しき繰り返しと負の連鎖を断ち切らなければ、浮上の道は見えない。初のJ3降格の危機にさらされ続けている大宮アルディージャは、原崎監督の下で未来を明るく塗り替える挑戦に臨む。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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