大阪桐蔭の「背番号2」に相応しい捕手に 南川幸輝は集大成の夏へ向けて長打力を磨く
悔しさしかないまま終わったセンバツ。春の2度の敗戦を夏の頂点につなげる
春の府大会は7試合で4本塁打と爆発。それでも府大会で敗れた悔しさを、夏につなげる思いだ 【写真は共同】
「センバツでは打つ方でも守りも、自分の思うプレーがひとつもできなかったです」
4番打者としてフル出場し、全4試合で安打を放ったが、主砲としての貢献度を思うと理想の打撃には程遠かった。3回戦の能代松陽戦は7回に右中間を破る三塁打を放ち、先制点を挙げるお膳立てはできたものの、これが唯一の長打だった。
悔やまれるのは敗れた準決勝の報徳学園戦。3点リードで迎えた7回裏の守りで、無死一、二塁の場面で自身のミスから無死二、三塁とピンチを広げてしまった。そこから一気に3点を奪われ同点に。相手に流れを渡してしまった決定的な場面でもあった。
「自分がもっとしっかりしていれば…」。今でも思い出すと歯がゆくなる。
この春の府大会ではエースの前田をベンチから外し、前田以外の戦力で春の府大会を極めようと再出発した。主に3番打者として打席に立ち、府大会7試合で4本塁打。一時は打率が6割を超え、まさに絶好調だった。
だが、府大会決勝では金光大阪に2-3で敗れ、府内の連勝が56で止まった。自身は3安打を放ち、6回には先制のホームも踏んだ。だが、相手の気迫に押される中反撃のきっかけを作るために打席に立った8回は、先頭打者として出塁できなかったことを悔やんだ。
「3安打打ったとしても負けは負けです。どんな投手でも、引っ張りすぎずに自分のバッティングができるようにしないといけない。夏はもう負けられません」
この春はエース番号をつけた右腕の南恒誠を始め、188センチの2年生の変則左腕・安福拓海、同じく2年生の右腕・平嶋桂知ら多くの投手をリードした。様々なタイプの投手陣との呼吸を確認し、リードの引き出しも広がった。捕手としての経験値も上がったが、中軸を任されている以上は、やはり長打にこだわりを持ち続けている。この春の自身の打撃内容を布石とし、夏への弾みにしたい。
「持ち味の長打をもう少し打てるように、これからもバットを振っていきたいです」
夏へ、そして自分を追い越せる長距離打者へ。この春からさらに進化した姿を披露し、先輩たちに少しでも近づく背番号2を目指していく。