J1月間MVP 新潟・伊藤涼太郎が語るブレイクの理由「リキさんとの出会いが大きい」
16年のプロ入り後、J1では結果を残せずにいたが、今季その才能が開花。月間MVP受賞3日前の福岡戦ではハットトリックをマーク 【(c)J.LEAGUE】
川崎戦に向けたモチベーションは高かった
ありがとうございます。こういった賞をJ1の舞台でいただけるなんて光栄なことですし、素直に嬉しいです。
――2・3月のリーグ戦でアルビレックス新潟は8得点を奪いましたが、伊藤選手は7ゴールに絡み、2得点・2アシストをマークしました。
トップ下で起用してもらっている以上はゴールに関わらなければならないって、常に意識しています。自分としては、もっとゴール・アシストを記録できたなっていう感覚があるので、もっと追求していきたいと思っています。
――伊藤選手の特徴として、ゴールに向かうスピード感が挙げられると思います。そうした長所がシーズン序盤は遺憾なく発揮されていましたね。
そこはチームとしても、あくまでも目的はゴールであって、ボールを回すことが目的にならないように。ボールを回すことは手段でしかなく、常にゴールを意識した攻撃をしようということを掲げているので、僕自身も意識していますし、チームとしてもその意識を強めているところです。
――この2・3月のリーグ戦で最も印象に残っているゲームはどれですか?
川崎フロンターレ戦(3月11日の第4節/○1-0)ですね。個人的にフロンターレはJ1で一番強いチームだと思いますし、選手の質もやっているサッカーの質も高い。僕の好きなサッカーを体現しているチームなので、自分の中であの試合に向けたモチベーションはすごく高かったし、楽しみにしていた一戦でした。そこでゴールを決められたのも嬉しかったですね。
リキさんは「ボールを失うことを怖がるな」と
昨季から新潟の指揮を執る松橋監督。選手の判断やプレースタイルを尊重し、チームの最大値を引き出している 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】
今言っていただいたように、僕はアシストするとき、誰でもって言ったらあれですけれど、簡単に決められるようなパスを出すことを意識していて。あのシーンも谷口(海斗)選手がワンタッチで打てる優しいパスを心がけたつもりです。ただ、映像で見返すと、僕のパスが良かったというよりも谷口選手が相手の股下を通して、よく決めてくれたなって。
――あの場面、ドリブルで運んでからカットインしましたが、自分で打つという選択肢も持ちながら?
そうですね。カットインして自分で打つのと、そのまま谷口選手に出すのと、あともうひとつ、三戸(舜介)選手が後ろから回って来たのが見えていたので、そっちに出すという選択肢もある中で、谷口選手に出しました。
――今季はここまで、J1で自分の良さを発揮できているという感覚はありますか?
ありますね。数字の部分はもう少し伸ばしたいですけれど、自分のストロングの部分はJ1でも通用するなっていう感覚がすごくあります。そこは自信を持ってやれていますね。
――21年夏まで在籍した浦和レッズ時代は、J1で自分らしさを発揮できなかった。それがなぜ、今は出せていると?
リキさん(松橋力蔵監督)との出会いが大きいと思います。リキさんからは「ミスを恐れるな」と常に言われていますし、「ミスしてもその後のプレーで取り返せばいい」「ミスしても何回でもチャレンジするのが大事なんだ」と。
浦和時代は結果を残せていなかったから、どうしてもミスをしないように、ボールを失わないように、というメンタリティになってしまっていたんですけれど、新潟ではリキさんのおかげで、ボールを失うことを怖がるのではなく、相手ゴールに向かっていくという自分本来のプレーを発揮できています。リキさんとの出会いによって生き生きとプレーできるようになったし、去年1年を通して相手チームにとって怖い存在になれているという実感があります。それを今、J1の舞台でも出せているので、信じてやってきてよかったなと思います。