現役引退後の鳥谷敬が考える「幸せ」になる方法と課題山積の野球界に対する「恩返し」の想い
【写真:平野司】
「カッコイイほうを選べ」「空気を読むな、自己主義で行こう!」
18年にわたるプロ野球人生で培った、自己肯定感を高める35のメソッド!
阪神、ロッテで活躍した鳥谷敬が現役時代のエピソードを踏まえて説く「人生訓」が詰まった一冊『他人の期待には応えなくていい』から一部を抜粋して公開します。
幸せになるには「準備」が大切
おそらく、不幸のどん底の真っただ中にある人は、目の前の困難への対処に精いっぱいで、「幸せとは?」と考える余裕すらないだろう。ということは、こんなことを考えていられるいまの自分は幸せだということになるのかもしれない。
現役時代は、日々の成績が結果となって明確に目の前に現れていた。それによって自分の評価が定まり、「年俸」というわかりやすい指標があった。
しかし、現役を引退して、成績や年俸といった「数字」では推し量ることのできない生活を送ることになった。
お金がある、時間がある、若さがある、健康がある……。
自分にないものを持っている人をうらやんだり、妬んだりする人もいるだろう。
けれども、究極のところでは「生きている」というだけで幸せなのかもしれない。
汚い話になるけれど、例えば、近所を散歩中にトイレに行きたくなったとする。でも、なかなかトイレが見つからない。そんなときにようやくトイレを見つけ用を足すだけで、人は幸せを感じることだろう。
トイレの例をあげたが、ここにも幸せになるためのヒントは隠されている。例えば、日頃から散歩途中に「どこにトイレがあるか」と常に意識していたらどうだろう。
「あの公園に公衆トイレがある」「ここのコンビニにもトイレがある」「あのカフェは男女別にひとつずつある」と知っていれば、突然用を足したくなっても、「ここから一番近いのは公園のトイレだ」と、むやみに焦ることなく心の準備ができるはずだ。
幸せになるためにも、やはり準備は大切なのである。
よく、「幸運の女神には前髪しかない」という。
幸運の女神には前髪しかないから、向かってくるときにつかまなければならない。通り過ぎてから慌ててつかまえようとしても、後ろ髪がないからつかむことができない。そんな意味の言葉だ。
自分にチャンスが訪れたとき、きちんと準備ができていればなにも慌てることがない。準備ができていなければ、せっかくのチャンスを逃してしまう。
だからこそ、たとえ出番が与えられないときでも、決して腐ることなくトレーニングに励むことができた。
やはり、事前の準備は大切なのだ。そして、何度も述べているように、「選択したものを正解に導く」思考プロセスを持っていれば、「失敗」がなくなる。
矛盾するような言い方になるが、「そもそも、物事は成功するものではなく、失敗するものだ」と、わたしは思っている。その失敗を受け入れやすくするために、「Aか、Bか?」を選択するのは自分で決めるし、そのための準備を怠らない。最終的に「幸せだ」と思えるように、「失敗」を「成功」に変えればいい。そうすれば、どんな結果になろうとも、選択したほうが正解となるのだからなにも心配はいらない。
わたしには5人の子どもがいる。
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