連載コラム「工藤公康の野球ファイル」

工藤公康が「大谷翔平の超一流マインド」を分析! 真似できない“飽くなき探求心”とは?

工藤公康

周囲への感謝の気持ちを忘れない心

工藤氏は、大谷翔平の経験や思考の積み重ねのすべてが今につながっていると分析している 【Photo by Masterpress - Samurai Japan/SAMURAI JAPAN via Getty Images】

 そしてもう一つすごいと感じることは、大谷選手は目標を達成するためには周りの方々の支えや力が必要で、みなさんに対する感謝を理解しているということです。それも高校生の頃からなのかタイミングは分かりませんが、相当早い段階からです。

 あの年齢で、自分が周囲から支えられていることを理解し、有難く日々を過ごすことが自分のパフォーマンスの向上につながると考えていることに、私は敬意を払わずにはいられません。

 周りの方々への感謝も含め、これまでの経験や“どうすれば”という思考の積み重ねのすべてが、大谷選手のパフォーマンスや、野球における“引き出し”になっているのだと感じています。

 何かおかしいと感じたり、少し違うなと思ったら、そういった思考や経験の積み重ねによってできた引き出しを活用して途中で修正したり、対処法を導き出すことができる。豊富な引き出しがあるからこそ、マウンド上やバッターボックスでも、自分の体や動きに対しての感覚を研ぎ澄ますことができ、野球のパフォーマンスにもつながっているのではないでしょうか。

 前回の中国戦での登板も、自分の調子や状況を理解・整理したうえで、その試合のことだけでなく次の試合のことも含めて、自分のボールを確認していたのではないかと思います。

 WBCでの活躍もそうですが、大谷選手のこれからの活躍も、私はとても楽しみにしています。


(企画構成:スリーライト)

2/2ページ

著者プロフィール

1963年5月5日生まれ。愛知県出身。名古屋電気高校(現:愛知名電高校)から1981年、西武ライオンズからドラフト6位指名を受け、入団。西武黄金期を支え、福岡ダイエーホークス、読売ジャイアンツ、横浜ベイスターズに在籍。現役時代は14度のリーグ優勝、11度の日本一に貢献し、優勝請負人と呼ばれた。現役通算で224勝を挙げ、最優秀選手(MVP)2回、最優秀防御率4回、最高勝率4回など数多くのタイトルに輝き、正力松太郎賞は歴代最多に並ぶ5回受賞。2016年には野球殿堂入りを果たした。2011年に現役を引退後、2015年に福岡ソフトバンクホークスの監督に就任。7年で3度のリーグ優勝と5度の日本一に導いた。現在は野球評論家として活動しながら、筑波大学大学院博士課程に進学。スポーツ医学博士取得に向け研究や検診活動を行っている。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント