W杯戦士とコンビを組むJ2町田の大卒新人 平河悠の“三笘”を感じる強烈なプレー

大島和人

デュークが前線のターゲットに

デューク(写真右)はオーストラリア代表FWで、空中戦の強さが光る 【(C)FCMZ】

 今季の町田は選手や監督だけでなくスタイルも大きく変わり、攻撃は縦、サイドに早いタイミングで長いボールを入れる場面が増えている。186センチのデュークは献身的なプレーが持ち味でボールを預かる、五分のボールを競る場面が多い。そこに平河や左ウイングのエリキ、トップ下の高橋大悟が関わっていくことで、チャンスは生まれる。

 デュークはこう述べていた。

「私は長身でフィジカルを生かしてプレーするストライカーですし、中盤とのつなぎ役もできます。(仙台戦は)そこがしっかりできたと思います。少し(前線で)孤立していた感じはありましたが、トレーニングマッチはあまり出ていないので、まだ詰める部分はあります。ただ今日はクリーンシート(失点0)で試合を終えていますし、チャンスもしっかり作れている。あとはそれを決めるだけなので、悲観していません」

 平河はデュークとの連携についてこう口にする。

「競り合いになったら勝ってくれますし、そこを信じて裏に走っています。お互いが目を合わせて、パスを出したり受けたりできています。もっとコミュニケーションを取って、合わせていきたい」

町田と平河のポテンシャルに期待

 シーズンはまだ序盤で、しかもチーム作りは守備から手掛けるのが定石だ。町田の攻撃を見ると、まだどうしても個を頼りにする部分は大きかった。入れ替わりが多かった陣容を考えれば、それは当然だ。

 一方でデュークやエリキとともに、平河が個としてJ2で違いを出せる人材なことは開幕戦を見れば分かった。町田の前線はそれぞれの持ち味に違いもあって、いい補完関係が生まれる気配もある。連携の深まりは未知数だが、一方で楽しみだ。

 Jでもトップレベルの外国籍選手とともにプレーすれば、単純に平河の強みはより引き出されるだろう。ポジション争いに勝ち続けることは容易でないが、このレベルで経験を積めれば五輪代表レベルに化ける可能性もある。チームとしてのポテンシャルが大きい2023年の町田を見ていて、平河は“個”として最大のポテンシャルを感じる存在だ。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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