連載:WBCプール展望&ライバル国分析

【WBC優勝候補分析】アメリカは豪華絢爛のスター軍団 攻略の鍵は“意外”な機動力封じ?

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キャプテンは現役最高と称されるスーパースター

マイク・トラウト(エンゼルス)がキャプテンを任される 【USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

 チームのキャプテンは、大谷翔平のチームメイトとしてもおなじみのマイク・トラウト(エンゼルス)だ。シーズンMVPを過去3回受賞するなど、現役最高選手の呼び声も高い。昨季も40本塁打を放ち、MLB12年間で通算OPS1.002と驚異的な成績を残している。トラウトとともに外野の一翼を務めるのが、走攻守すべてに秀でたムーキー・ベッツだ。2018年に首位打者を獲得しており、守備では6度のゴールドグラブ賞を獲得している。2020年にドジャースと12年総額3億6500万ドルの超大型契約を結んでいるスタープレーヤーだ。強打とスピードを兼ね備える人材は、外野手にとどまらない。捕手のJ.T.リアルミュート(フィリーズ)は昨季、打率.276、22本塁打、21盗塁をマーク。守っても盗塁阻止率.441を誇るなど、攻守に隙のないキャッチャーだ。
 内野手にも、名だたるタイトルホルダーが選出されている。ファーストには、2022年のナ・リーグMVPポール・ゴールドシュミット(カージナルス)が入る。昨季は35歳のベテランながら打率.317、35本塁打、115打点と主要3部門でキャリアハイに迫る好成績を残した。サードは同じくカージナルスのノーラン・アレナド。過去3度の本塁打王を獲得した打撃面だけでなく、メジャー1年目から10年連続でゴールドグラブ賞に選出された守備でもフィールドを彩る。またショートには、盗塁王2回と首位打者を獲得している俊足巧打のトレー・ターナー(フィリーズ)が入る見込み。加えて、昨季の本塁打王カイル・シュワバー(フィリーズ)、2019年に新人王と本塁打王ピート・アロンソ(メッツ)が選出されており、野手陣の顔ぶれは豪華絢爛(けんらん)だ。

日本から見た警戒と攻略のポイントは?

 アメリカ代表の救援陣にはMLBの各球団でクローザーを務める投手が並んでいる。となれば、日本は中盤までに優勢な展開を作る必要があり、先発陣の攻略が重要なポイントだ。一方で、今大会のアメリカ代表は救援専門の投手の人数がやや少なく、6回前後までは複数の先発投手による継投が予想される。となれば日本の打者と同一投手の対戦は2打席以下だろう。アメリカの先発、第2先発は昨季の与四球率が低い技巧派タイプ揃い。これらのことから、1巡目の対戦だとしても試合の序盤は積極的な打撃が望ましい。

 試合終盤のキーポイントは、右投手との対戦だ。先述のようにアメリカ代表には左腕のリリーバーがほぼいないため、左投手を苦手とする打者は不安材料が薄れる。昨季は大谷翔平がMLBの左投手に苦戦していたが、試合終盤は彼の打力を発揮しやすい環境となるだろう。

 守備面で警戒したいポイントは、アメリカ代表の機動力だ。野手陣には盗塁王を2度獲得した実績を持つターナーをはじめ、昨季のMLBで20盗塁以上をマークした選手が5人。それ以外にも、トラウトやゴールドシュミットには過去に30盗塁以上を記録したシーズンがあり、走塁意識の高い選手が揃っている。破壊力のある打線に意識は向きがちだが、勝負どころの盗塁には十分な注意を払いたい。当然ながら投手のクイックやけん制、甲斐拓也ら捕手陣のスローイングが流れを変えるワンプレーとなる可能性もある。また、侍ジャパンは落ちる変化球を武器にする投手が多いため、キャッチャーはワンバウンドの投球に対するケアがより求められる。

 今大会で日本がアメリカと対戦が実現するとなれば、組み合わせの関係から必ず準決勝となる。2017年の前回大会は準決勝で1-2と日本が敗れているアメリカ代表だが、ロースコアの接戦自体はゲームプランに沿った展開だった。今大会の侍ジャパンも高い投手力を誇るだけに、アメリカ打線が相手でも大量失点の可能性は低い。前回対戦時はアメリカに先制を許したこと、守備で失点につながるミスが出たことの2点が響いた。2017年のリベンジを果たすためにも、細かいプレーの質を追求した日本らしい野球を見せてほしい。

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著者プロフィール

日本で唯一のスポーツデータ専門会社。 野球、サッカー、ラグビー等の試合データ分析・配信、ソフト開発などを手掛ける。

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