カーリング北海道選手権、女子は北海道銀行が連覇 男子は北見協会が初優勝し、それぞれ日本選手権へ
原点回帰で強化を重ねてきた若きタレント軍団
北海道選手権連覇と日本選手権出場を決めた、北海道銀行のスキップ・田畑百葉の第一声だ。
現在の伊藤彩未ー中島美琴ー仁平美来ー田畑の陣容になったのはちょうど1年前。若返ったチームながら、北海道選手権初優勝から日本選手権3位入賞と一気にトップチームに駆け上がった昨シーズンだったが、今季に入ってからは「苦しいことのほうが多かった」と田畑は振り返る。
夏の北海道ツアー「どうぎんクラシック」と「稚内みどりCHALLENGE CUP」ではいずれも予選落ちを喫した。9月にはスイス、カナダと遠征に出て強化を図ったが、海外の地でも日本ジュニア選抜や中部電力、ロコ・ソラーレといった国内チームに敗戦するなど、なかなか結果が出なかった。
それでもチームのポテンシャルを信じて、決して腐らずに「どうしたらいいのかをチーム全員で真剣に話し合った」と田畑は振り返る。
結論はベースアップだ。もともと、ショット、スイープの能力は高いチームだけにまずは基礎体力の向上を図り、基本ショットの精度を見つめ直した。仁平は北海道教育大学岩見沢校の現役学生なので学業、伊藤、中島、田畑は銀行の週3回の勤務と並行しながら、週4回のオンアイスと週2-3回の筋トレの量を堅持。氷上でもショットの正確性はもちろんながら、スイープの速度と量、コミュニケーションの質を高める練習に時間を費やした。派手なショット、難易度の高い作戦というより、「当たり前を積み重ねて主導権を握る」といういわば王道の戦術を貫いた印象だ。
大会後、田畑はテレビのインタビューで全勝での優勝について質問され「正直、迷うこともあったけれど、やってきたことが間違いじゃなかったと自信になりました」と笑顔で応じている。
昨季のロコ・ソラーレと中部電力に次いでの3位という成績を「嬉しいより悔しい気持ちのほうが強い」と語っていた田畑だが、確実に成長したチームがその悔しさを晴らすために、再度、日本の頂点に挑むことになる。15日から長野県で開催中の軽井沢国際では、新加入の山本冴も合流した。
目標はロコ・ソラーレとの“姉妹対決”
山本の加入で佐藤浩コーチ(写真中央)の選手起用にも注目が集まる 【写真:北海道カーリング協会】
今季から佐々木穂香をスキップとして迎えた。ドローが得意な佐々木と、ハウスマネジメントに長けた本橋麻里が組むことで、エンドごと、あるい試合を通しての駆け引きが洗練された。
今大会のプレーオフでも、ラウンドロビン(総当たり予選)で一度、黒星をつけられた十勝JCC(Jewelry Ice Curling Team)戦で、相手の土俵であるドローゲームを巧みに避け、キーショットでテイクを強いる盤面構成を意識していた。
さらに準決勝の札幌協会(STRAHL)戦では相手がアイスリーディングに苦戦している間に3点スチールを奪うと、シンプルショットでピンチの芽を摘み続けた。勝ち方が堂に入ってきたと表現すべきだろうか。彼女らが見つめる先にはやはりあのチームの背中がある。大会後、オンライン取材で佐々木はロコ・ソラーレへの想いを口にした。
「作戦だったりショットだったり、試合中の振る舞いだったり、すべてトップカーラーのもの。近くで見習いながら、追いかけたい。ワイルドカードを勝ち上がって対戦するのは大きな目標のひとつです」
本橋と佐々木のバックエンドによるゲーム展開能力は高い 【写真:北海道カーリング協会】
近年の日本選手権、例えば2021年の日本選手権では男子は常呂ジュニア(ドラゴン)が準優勝、女子は北海道銀行フォルティウス(現フォルティウス)が優勝。2022年は男子は札幌国際大学が準優勝、女子は前述のとおり田畑率いる北海道銀行が3位と、それぞれ北海道選手権を制したチームの躍進が目立つ。北見協会(KiT CURLING CLUB)も昨季、ワイルドカード枠から4位入賞という好成績を残した。
日本選手権の会場は北海道選手権と同じアドヴィックス常呂カーリングホールだ。地の利を活かした北海道勢の活躍に期待したい。