大谷がアメリカン・リーグの先発投手兼1番打者と発表される数日前、MLB機構は二刀流スターの姿をまとめた30秒のコマーシャルを公表した。その中には当然、大谷が投げる場面と打つ場面の両方があって、英語と日本語で興奮を隠しきれないアナウンサーが叫んでいる。

　いくつかの単語がスクリーンで点滅する。ピッチャー。打者。オールスター。社会現象。ダービースラッガー。世界的スーパースター。モテ男。史上初の二刀流オールスター。

　It's Sho-time.

　大谷のファーストネームそのものがこのキャンペーンで抜群の相性を見せている、と語ったのは、MLB機構マーケティング担当シニア副社長のバーバラ・マクヒューだった。

「名前と偉業が合致している──それがショーになっている」

　マクヒューが語った。

「私たちとしても、この点を可能な限り前面に押し出して大きな扱いにしたいと考えている。野球界の歴史の中でもいちばん独特で、革命的な選手ですから」

　さらにマクヒューは付け加えた。

「私たちは、しばらく前からショウヘイに注目していました。この勢いをつくり出すには、途方もない計画性と積み重ねが必要ですから」

　MLB機構はすでに、ニューヨークにある本部ビルに巨大な大谷の写真を貼り出していた。

　大谷を売り出すMLBの姿勢は、コミッショナーに就任して3年目となるロブ・マンフレッドが、大谷のチームメイトであるマイク・トラウトについて問題発言をした償いといった側面も大きかった。