J1月間MVP京都ピーター・ウタカの信念 「個人もチームもリミットを超えていく」

雨堤俊祐

臆せずチャレンジする若手を誇りに思う

曺監督との出会いによって、点取り屋として以外の多くの引き出しがあることに気付かされた。これまで指導を受けた監督の中でも特別な存在だ 【Photo by YUTAKA/AFLO SPORT】

──現在の京都には若い選手が多いですが、ウタカ選手の目に彼らのプレーはどのように映っていますか?

 誇りに思っています。J1での経験が少ない選手が多いんですが、彼らは臆せず積極的にチャレンジしています。プレーが小さくなることもなく、目の前の相手を倒そうと全力で戦ってくれている。日々、成長をひしひしと感じています。もちろん、まだまだ経験値は足りていませんが、それはこれから戦っていくなかで自然と上がっていくでしょうし、ピッチ上でうまく振る舞うための知恵も、徐々に備わってくるはずです。

──ウタカ選手の活躍もあって、4月のサンガは3勝1分け1敗と好調でした。

 非常に成長できた、いろんなものを得られた1カ月だったと思います。チームとしてできることが増え、レベルの高いチームから勝利も奪えました。ただ、自分もチームも4月だけで終わるつもりはありません。これからも良いプレー、良い試合を見せ続けていきたいですね。

──J1昇格1年目、ここまでの手応えはいかがですか?

 良い試合があった一方で、湘南ベルマーレ戦(第4節)やガンバ大阪戦(第7節)のように、リードしながら追いつかれた試合もありました。サッカーというのは予期せぬことが起こるスポーツですが、自分たちの中でそうした経験をきちんと消化して、今後の試合運びに生かしていく必要があるでしょうね。

──4月の5試合の中で、特に印象に残っている試合は?

 サガン鳥栖戦(第8節/3-1で勝利)ですね。前半から相手を圧倒できましたし、自分自身も2ゴールを決められた。後半のチーム3点目は、GKとディフェンダーをかわしてからのノールックシュートでしたね(笑)。鳥栖は前からプレッシャーをかけ続けてくるアグレッシブなチームですが、われわれはそれ以上に走り、プレスをかけて、相手を上回るパフォーマンスを発揮できたと思います。

──5月3日のアウェーの名古屋グランパス戦は、4万人に迫る大観衆(3万7068人)が見守る中での試合でした。こうして少しずつスタジアムに観客が戻ってきている状況を、選手としてどのように感じていますか?

 あの名古屋戦は、とてもファンタスティックな雰囲気でしたね。言うまでもなく、無観客試合や入場制限でサポーターが少ない試合は寂しいですし、コロナ禍を経てサッカーが以前の日常を取り戻しつつあるこの状況を、いちサッカー選手として本当に喜ばしく、ありがたく思っています。間違いなく選手のモチベーションにもつながっているはずですからね。こうした環境を整えてくださっている方たちには、感謝の気持ちでいっぱいです。

残留はもちろんトップ5も狙える

J1経験は少ないながら、意欲的な若手の存在も頼もしい。「自分たちの可能性に制限を設けなければ、トップ5も狙える」とウタカは強気だ 【写真は共同】

──5月14日時点でJ1の9位につける京都ですが、チームがこれからさらに成長していくためには、何が必要でしょう?

 プレスに関してはうまく機能しているので、改善するとすればボール扱いのところですね。例えば、ボールを奪った後の1つ目や2つ目のパスの精度や、マイボールを簡単に失わないキープ力には、まだ成長の余地があるでしょう。そこが良くなれば、サンガのサッカーは次のステップに進めるのではないかと思っています。あとは、もっと積極的にシュートを狙っていくこと。もちろん闇雲にシュートを打てばいいわけではなく、確実にゴールを決めるために打つわけですが、そのクオリティーは追求していきたいですね。

──では最後に、個人とチームの今後の目標を聞かせてください。

 個人としては、開幕前から掲げている目標に変わりありません。ここ数年、J2で残してきた数字(3年連続20ゴール以上)と同じような数字を、今シーズンのJ1でも挙げたいと思っています。「自分にはリミットがないんだ、リミットを超えていくんだ」という姿勢を、みなさんに見せていきたい。よく年齢(今年2月で38歳)のことを言われるんですが、年齢というのはただの数字に過ぎません。自分が何歳だろうと、ピッチ上で何ができるのか、何を見せられるかが大切であることに変わりはないんです。

──チームとしてはどうですか?

 サンガはJ2から昇格してきたばかりのクラブです。きっと多くの人が、「J1に残留できるかどうか」を今シーズンの成否の判断基準にしているでしょう。ですが私は、これからも継続してしっかり戦っていけば、残留はもちろんトップ5に入ることも不可能ではないと思っています。チームとしても、自分たちの可能性に制限を設けず、リミットを超えていく姿勢が求められている。実現できるかどうかは分かりませんが、高い目標に向かって進むんだという意識を全員で共有し、そのための努力を続けることが大切なんです。

(企画・編集/YOJI-GEN)

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著者プロフィール

雨堤俊祐

京都府出身。生まれ育った地元・京都を中心に、Jリーグから育成年代まで幅広く取材を行うサッカーライター。サッカー専門新聞『EL GOLAZO』で2005年から10年間、京都サンガF.C.の担当記者として活動。現在は京都のオフィシャル媒体や『J's GOAL』、サッカー専門誌などで執筆している。また、TVではJ:COMの『FOOT STYLE 京都』にコメンテーターとして出演中。

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