カタールW杯・E組「タレント力比較」 日本が“2強”に肉薄するポジションは?
DFの査定
今季移籍したアーセナルで実力を証明。冨安は世界レベルのFWとも渡り合えるタレントだ 【Photo by Visionhaus/Getty Images】
スペイン:A
ドイツ:B
コスタリカ:E
ニュージーランド:E
日本が世界に誇れるセクションがDFだろう。FW、MFと同じ「C」評価としたが、「B」評価でもおかしくない。
キャプテンの吉田麻也と、強豪アーセナルの最終ラインを支える冨安健洋がコンビを組むセンターバック(CB)は、世界トップレベルとは言えないまでも高水準にある。同じく欧州での経験が豊富な長友佑都、酒井宏樹がそれぞれ左右のファーストチョイスとなるサイドバック(SB)も不足はない。35歳となった長友には衰えを指摘する声もあるが、最終予選の後半戦には魂のこもったプレーで批判を払拭。世界の大舞台で戦ううえで、その豊富な経験は得難い。
最終予選ではCBの板倉滉や谷口彰悟が奮闘し、SBも中山雄太に加えて山根視来が実力を示したように選手層の厚みも増している。とはいえ、やはり頼りになるのはレギュラーの4人。彼らが揃って良好なコンディションでW杯の開幕を迎えられれば、世界の強豪を相手にも戦えるはずだ。
スペイン、ドイツの2か国と比較すると、日本の陣容は少なくともドイツとはそれほど差がないだろう。ドイツは、かつてのフィリップ・ラームやマッツ・フンメルスのような絶対的なリーダーが不在。ニクラス・ジューレ、アントニオ・リュディガーのパワフルなコンビが中央部に分厚い壁を築くCBは、進境著しい有望株のニコ・シュロッターベックも代表に定着しつつあり、ハイレベルの陣容だ。しかし、SBがやや手薄。左サイドは成長株のダビド・ラウムで固まってきたが、右サイドは中盤からコンバートされた攻撃的なヨナス・ホフマンと、ユーティリティなティロ・ケーラーで賄う。
一方、スペインの陣容は日本やドイツを上回るだろう。CBコンビは、ポゼッションスタイルを支えるエメリック・ラポルトとエリク・ガルシア。希少な左利きのCBであるラポルトはマンCで充実期を送り、そのマンCから今季、16歳まで過ごした古巣バルサに帰還したE・ガルシアも、守備に軽さがあるものの攻撃面では21歳とは思えない質の高いプレーを見せる。SBはジョルディ・アルバ、セサル・アスピリクエタの両ベテランに加え、レアル・マドリーのダニエル・カルバハルが復帰。ハイレベルの戦場で戦い続けてきた百戦錬磨の名手が並ぶ。
コスタリカとニュージーランドは「E」評価か。コスタリカはエバートンなどでプレーした実績を持つ左サイドのブライアン・オビエドを除くと、ほぼ国内でキャリアを重ねてきた選手たち。一方のニュージーランドはキャプテンでCBのウィンストン・リードが、昨夏にウェストハムを退団して以来、無所属の状態が続いている。
GKの査定
ノイアーは相変わらず異次元のパフォーマンスを見せている。ドイツが世界に誇るスーパーGKだ 【Photo by Alex Gottschalk/DeFodi Images via Getty Images】
スペイン:A
ドイツ:S
コスタリカ:A
ニュージーランド:D
日本と世界の列強国との差が最も大きいのがこのポジションだろう。権田修一は欧州でもプレーしたことがある経験豊富なGKだが、ポルトガルのスモールクラブ(ポルティモネンセ)でレギュラーをつかむことができなかった。身長は187センチ。日本人としては大柄だが、190センチ以上が世界のスタンダードとなっている現代フットボールにおいては優位性を示せるサイズではない。
ドイツには、36歳になった現在もなお世界最高峰の1人に数えられるマヌエル・ノイアーがいる。しかも2番手には名門バルサで長く正GKを務め、やはり世界的な名手と評されるマルク=アンドレ・テア・シュテーゲン。まさに盤石の陣容だ。
スペインの守護神ウナイ・シモンはメガクラブでのプレー経験こそないが、アスレティック・ビルバオの名手の系譜に連なるGKだ。バルサやトッテナムなどが関心を持っていると伝えられ、これから世界的な評価を勝ち取るかもしれない。控えとしてはイングランドで飛躍的に成長したロベルト・サンチェス、かつてのワールドクラス、ダビド・デ・ヘアを抱えており、陣容全体としてもまずまずだ。
ケイラー・ナバスを擁するコスタリカにも高評価を与えるべきだろう。ナバスはすでに35歳とはいえ、かつてR・マドリーで正GKを務め、現在はパリ・サンジェルマンでプレーする小国コスタリカが誇る世界的な選手だ。
ニュージーランドはイスラエルのクラブに在籍するステファン・マリノビッチが正GKに一番近い。ドイツでのプレー経験もあるが「D」評価が妥当か。
(企画・編集:YOJI-GEN)