F1 2022年シーズン開幕特集

[開幕直前スペシャル対談]中野信治×サッシャ 今季F1は「フェラーリの逆襲」が濃厚!?

柴田久仁夫

元F1ドライバーならではの視点から解説をする中野信治さんと、モータースポーツに造詣が深いサッシャさん。DAZNのF1中継でお馴染みのふたりに今季F1の見どころを聞いた 【DAZN】

 技術規約が大きく変わり、個性的なニューマシンが登場した今季のF1は、これまでなかったような地殻変動の予感がある。今週に迫ったF1開幕を前に、DAZNライブ実況でおなじみのサッシャさん、元F1ドライバーの中野信治さんに、規約変更はF1に何をもたらしたのか、今シーズンの見どころはどこか、そして注目のシーズンを満喫できそうな『F1 ZONE』や『WEDNESDAY F1 TIME』といった“DAZNならではの楽しみ方”についても存分に語ってもらった。
──今季は去年以上のワクワク感、面白そうな予感があります。

サッシャ 見たこともない新しいクルマが登場したのに加え、勢力図も大きく変わりそうですね。ウイリアムズのアレックス・アルボンが上にいたり、フェラーリが終始速かったり、メルセデス、レッドブルの2強時代だった去年とは明らかに違う。これは楽しいぞ、と。

──話題のバウンシング(激しい縦揺れ現象)、あの現象は開幕数戦で解消されると思いますか?

中野 いや、コース特性によってぶり返すことは、充分考えられます。原理的に、消しようはないですから。ただドライバー的には、運転に支障をきたすほどではない感じです。チームにもよりますが、バーレーンはとりわけバンプ(コース上のでこぼこ)がひどいし、ここで大丈夫なら大抵のサーキットでいけそうですね。

サッシャ カナダとかアゼルバイジャン、マイアミとか、長い直線のある市街地コースは、また出そうですね。

中野 ああいうコースは足回りもやわらかくする必要があるので、メルセデスなどはそうしたデータも取っていたようですね。

“ぶつかりやすいドライバー”がアブナイ!?

「鈴鹿の攻略法が変わりそう」「“ぶつかりやすいドライバー”は(笑)、いっそう接触が増えるかも?」と今季の戦いを予想するサッシャさん 【DAZN】

──F1としては「抜きつ抜かれつのシーンを増やす」ということが狙いで、そのために前走車により近づけるようにするというのが今回の規約変更の目玉でしたが、その点についてはどう思いますか?

サッシャ テストで見る限り、充分接近できていますね。

中野 もちろん実際にレースが始まらないと分からない部分はある。「3〜4台が前にいても本当に乱流が起きないのか?」とかね。でも、ドライバーのコメントはおおむね肯定的ですね。

──鈴鹿の高速S字とか、シルバーストンのマゴッツ〜べケッツなどは、去年までは絶対に近づけなかった。あそこで接近できたら、見ているほうもずいぶん面白くなるでしょうね。

サッシャ 鈴鹿の攻略法は変わるでしょうね。

中野 2秒速くても抜けないサーキットでしたからね。その点は朗報です。

──去年までは進入のブレーキングで無理やり飛び込んで追い抜く感じだった。でも今年のクルマだと、コーナリング中にも抜けるようになるかもしれない。“バトルの質”が変わるということでしょうか?

中野 近づきやすくなるぶん、いままで以上に激しくなるでしょうね。

──前を走るドライバーは、去年よりもミラーを注視する必要がある?

中野 そう思いますね。どこからでも来れちゃうから。去年までは、「来るならここしかないな」という感じだった。でも絶対来ないというのが、今年はないかもしれない。一瞬の油断もできないですね。

サッシャ いわゆる“ぶつかりやすいドライバー”は(笑)、いっそう接触が増えるかも?

中野 そうかもしれない(苦笑)。逆にオーバーテイクの技術の高いドライバーは、腕の見せどころですね。そこも期待できそうですね。

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著者プロフィール

柴田久仁夫(しばたくにお) 1956年静岡県生まれ。共同通信記者を経て、1982年渡仏。パリ政治学院中退後、ひょんなことからTV制作会社に入り、ディレクターとして欧州、アフリカをフィールドに「世界まるごとHOWマッチ」、その他ドキュメンタリー番組を手がける。その傍ら、1987年からF1取材。500戦以上のGPに足を運ぶ。2016年に本帰国。現在はDAZNでのF1解説などを務める。趣味が高じてトレイルランニング雑誌にも寄稿。これまでのベストレースは1987年イギリスGP。ワーストレースは1994年サンマリノGP。

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