北京パラの注目選手、メダル候補たちを紹介 10日間にわたる雪と氷の祭典が本日開幕

荒木美晴/MA SPORTS

村岡桃佳は前回大会、女子大回転(座位)の金メダルを含む5つのメダルを獲得した 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

 本日開幕する北京パラリンピック。10日間にわたって6競技78種目が行われる。日本代表選手団は、アルペンスキー、クロスカントリースキー、バイアスロン、スノーボードの4競技に29人(競技パートナー1人)が参加する。車いすカーリングとアイスホッケーに日本は出場しないが、世界トップクラスの戦いは見逃せない。あわせて、北京大会の特徴や見どころ、注目の日本人選手を紹介していこう。

テスト大会中止、バブルのなかで異例の幕開け

 雪上競技は天候や雪質の見極めとワックスの選択、道具類の調整が大事だと言われている。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、通常は1年前に開催されるはずのテスト大会が中止に。事前に得られる試合会場のコースや雪質の情報は十分とは言えず、選手たちは現地入りしてから初めて感触を確かめることになる。アルペンスキーの石井沙織ヘッドコーチは「五輪の試合から情報を取り入れているが、気温が上がる3月の状況は予想しづらい」としながらも、「ベテランが多い日本の選手は個々の能力が高く、経験を生かせると思っている」と力強く話していた。

 なお、2月20日に閉幕した五輪と同様に、パラリンピックも選手や記者、運営スタッフを含めすべての関係者が外部との接触を断った厳格な「クローズドループ」と呼ばれるバブル内で開催される。

夏冬“二刀流”のスーパーアスリートたち

日本代表選手団主将を務めるアルペンスキーの村岡桃佳は昨夏の東京パラリンピックにも出場。女子100m(T54)で6位入賞を果たした 【写真:松尾/アフロスポーツ】

 まずは夏季と冬季、両方のパラリンピックに出場する超人たちに注目したい。

 日本代表選手団主将を務めるアルペンスキーの村岡桃佳(トヨタ自動車)は、左右の緻密なカービングターンを武器に、前回大会は女子大回転(座位)の金メダルを含む5つのメダルを獲得。その後、2019年から陸上競技への挑戦を決意する。目標の東京パラリンピックに出場すると、女子100m(T54)で6位入賞と好成績を収めた。大会後にスキーに復帰し、今季のワールドカップ(W杯)開幕戦のスーパー大回転第2戦で優勝するなど存在感を示していた。今年1月、トレーニング中に転倒して右ひじの靭帯を損傷するも、リハビリを経て雪上に戻り練習を再開。北京大会に向けては、「東京パラリンピックからの準備期間は約半年間。正直、不安や恐怖心もあるが、北京パラは二刀流の集大成として位置づけているので最後に笑えるようにしたい。メダルが獲れるよう、精一杯全力を尽くす」と覚悟をのぞかせる。

 スノーボードで初出場の小須田潤太(オープンハウス)も、東京パラリンピックの陸上競技の日本代表。義足のジャンパーとして男子走幅跳(T63)に出場し、自己ベストを跳んで7位に入賞した。スノーボードでは昨年12月のW杯フィンランド大会(スノーボードクロス)で表彰台に上がっており、北京大会での好パフォーマンスに期待がかかる。

 東京パラリンピックのボート競技で混合舵手つきフォアに出場した視覚障害の有安諒平(東急イーライフデザイン)は、ボートの強化の一環で取り組み始めたクロスカントリースキーでも頭角を現して北京大会の日本代表に。今大会は藤田佑平(スポーツフィールド)がガイドスキーヤーを務める。ガイドは選手の前を走り、声を出してコース状況などを伝達する。選手とガイドのコンビネーションも見どころだ。

 クロスカントリースキー/バイアスロンの佐藤圭一(セールスフォース・ジャパン)は、冬季ではバンクーバー、ソチ、平昌に続いて4度目のパラリンピック。夏季では16年のリオパラリンピックでトライアスロン日本代表に選ばれた。東京大会は出場を逃したが、トライアスロンの身体を動かし続ける練習がスキーに生きていると話し、北京大会では「バイアスロンにフォーカスし、メダル獲得を目指す」と力強く語る。

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著者プロフィール

1998年の長野パラリンピック観戦を機に、パラスポーツの取材を開始。より多くの人に魅力を伝えるべく、国内外の大会に足を運び、スポーツ雑誌やWebサイトに寄稿している。パラリンピックはシドニー大会から東京大会まで、夏季・冬季をあわせて11大会を取材。パラスポーツの報道を専門に行う一般社団法人MA SPORTSの代表を務める。

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