連載:ファン&解説者が予想! 2022年のプロ野球

鳥谷敬が2022年セ・リーグ○×予想 「ヤクルト・奥川恭伸は最多勝の可能性も」

大利実

広島:栗林良吏がセーブ王になる

鳥谷の予想「○」

――入団1年目ながら、37セーブを挙げて新人王を獲得した栗林投手。元阪神のスアレス投手(パドレス)の42セーブには及びませんでしたが、十分な活躍を見せました。今季、初のセーブ王に輝くと思いますか?

鳥谷 可能性は十分あります。広島以外の5球団を見たときに、クローザーが明確に決まっている球団がまだありません。新外国人投手の実力も未知数。特にタイトル争いを考えたときに、スアレス投手が抜けたことは大きなポイントになるはずです。1年目の疲労も多少はあるでしょうが、1年間抑えを務めた経験は、今季に必ず生きてくるはずです。

――栗林投手の魅力はどこにありますか?

鳥谷 フォークボールですね。空振りを取れるボールがあることは、抑えで活躍するための必須要件です。東京オリンピックで結果を残したように、大舞台で力を発揮できる精神力も、栗林投手の魅力と感じます。

中日:柳裕也が沢村賞を受賞する

昨季、最優秀防御率と最多奪三振のタイトルを初めて獲得した中日・柳裕也。ベストナイン、ゴールデン・グラブ賞も受賞するなど、飛躍の1年となった 【写真は共同】

鳥谷の予想「×」

――柳投手は昨季、最優秀防御率(2.20)と最多奪三振(168)のタイトルを獲得しました。今年はさらに上を目指して、「沢村賞」の期待がかかりますが、可能性はどうですか?

鳥谷 いいピッチャーであることは間違いありませんが、「沢村賞」となると難しいと思います。最初にお話したように、奥川投手が最多勝を獲る可能性があるので。あとは、勝ち星は打線との兼ね合いが出てきます。ドラゴンズは決して得点力が高いわけではないので、終盤までいいピッチングを見せても、白星が付かない試合もいくつか出てくるのではないでしょうか。

――昨季、柳投手がタイトルを獲得できた要因はどこにありますか?

鳥谷 ゲームを作る能力はもともと高いものを持っていました。ただ、慎重にいきすぎてフォアボールを出すなど、もったいないピッチングもありました。昨年に関して言えば、自分のピッチングに自信を持って、いい意味で大胆に攻めていたように感じます。

――沢村賞は難しいとしても、今年も安定感抜群のピッチングを期待できそうですね。

鳥谷 そう思います。打席で感じるのは、ほかのピッチャーと比べて、柳投手のストレートはボール1個分低く感じることです。「ボールだな」とジャッジしたストレートが、スピンが効いて、手元で伸びてくる。こうなると、その低さから落ちてくる変化球にも手が出やすくなります。決して、ストレートの球速が速いわけではない柳投手が、最多奪三振のタイトルを獲得できたのは、このあたりが要因ではないでしょうか。バッターの視覚を狂わせる技術を持っています。

DeNA:牧秀悟が3割30本塁打を達成する

鳥谷の予想「○」

――入団1年目から、打率.314、22本塁打、71打点と素晴らしい数字を残した牧選手。今季、「3割、30本」を達成できますか?

鳥谷 期待を込めて「○」にしておきます。ヘッドスピードが速く、確実性がある中でボールを飛ばすことができるのが、最大の特徴です。確実性と強さを両立するのは非常に難しいことですが、牧選手は1年目から実践できていました。しかも、年間通して試合に出たうえでの成績なので、価値があります。

――タイプ的には中距離打者のように感じますが、「30本」は可能ですか?

鳥谷 たしかに、岡本選手や村上選手のような打球の角度を持っているわけではありません。それでも、30本の可能性を感じるのは、本拠地が横浜スタジアムであることです。風向きがバッター有利になることが多く、球場自体も広くはありません。僕自身もそうでしたが、中距離ヒッターでもホームランが出やすい球場です。この球場の特性が、牧選手には有利に働くと思います。

鳥谷敬(とりたに・たかし)

阪神で16年、ロッテで2年。セパの人気チームで多くのファン、選手に慕われた鳥谷敬 【写真は共同】

1981年、東京都生まれ。2003年のドラフト会議、自由獲得枠で阪神タイガースに入団。入団1年目の04年から遊撃手として101試合に出場。衣笠祥雄に次ぐ歴代2位となる1939試合連続出場、17年に2000安打を達成。20年にロッテに移籍し、21年に18年間の現役生活にピリオドを打った。通算成績は2243試合出場、打率.278、2099安打、138本塁打、830打点、131盗塁。

(企画構成:スリーライト)

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著者プロフィール

1977年生まれ、横浜市出身。大学卒業後、スポーツライター事務所を経て独立。中学軟式野球、高校野球を中心に取材・執筆。著書に『高校野球界の監督がここまで明かす! 走塁技術の極意』『中学野球部の教科書』(カンゼン)、構成本に『仙台育英 日本一からの招待』(須江航著/カンゼン)などがある。現在ベースボール専門メディアFull-Count(https://full-count.jp/)で、神奈川の高校野球にまつわるコラムを随時執筆中。

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