連載:プロ野球・好きな球場ランキング

生粋の高校野球好き芸人・かみじょうたけし 好きな地方球場と聖地・甲子園の魅力を語る

沢井史

高校野球の聖地・阪神甲子園球場。かみじょうたけしが語る、笑いと驚きのエピソードの数々を堪能してほしい 【写真:アフロ】

「アメトーーク!」の「高校野球大大大好き芸人」への出演が話題を呼んだ、生粋の高校野球好き芸人・かみじょうたけし。今もなお、仕事の合間を縫って地方大会や夏の甲子園本大会を観戦し続けるかみじょうたけしが、好きな球場ベスト3と高校野球の聖地・甲子園の魅力を語る。

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思い出が詰まった明石球場

――かみじょうさんはプロアマ問わず多くの球場に足を運んでいると思いますが、好きな球場を3つ挙げるとしたら、どこになりますか?

 まずは明石球場ですね。正式には「明石トーカロ球場」と言います。僕は地元が兵庫県の淡路島なんですが、同県の高校野球の決勝戦は当時、明石球場でやることが多かったんです。親父に連れて行ってもらった思い出の球場で、今でもこの球場に行くと地元に帰ってきたような雰囲気を感じます。

明石トーカロ球場 【写真提供:斉藤振一郎】

――初めて明石球場に行ったときのことは覚えていますか?

 はい。1989年夏の兵庫大会の準決勝、神戸弘陵と地元・津名高校の試合です。試合前に球場のブルペンを見たら、近所でいつも遊んでくれていたお兄ちゃんが投げていました。柔らかいボールを投げてもらって僕がホームランを打って、「こんなんやったら勝てんぞ」とか言っていたお兄ちゃんが真剣な顔つきで投げている姿を見て、ちょっと怖かった印象があります。でも、このお兄ちゃんがその後、憧れの存在になっていったんです。

――明石球場は明石公園の中にあって、まわりでは犬の散歩をしていたり、ボールで遊んでいる子供を見かけたりしますね。

 そうですね。明石公園には明石城跡があって、緑が多くて、すごくきれいなところです。明石球場の球場外、左中間の後ろあたりに遊具があって、そこに登って試合を観ているおっちゃんがいるんですよ。明石球場に向かうとき、その光景を見る度に「おっちゃん、球場の中に入らんのかい」って思うんですが、こういうおっちゃんに限って高校野球にめちゃくちゃ詳しかったりするんです(笑)。

――明石球場で観た試合で一番印象に残っている試合は何ですか?

 前述の神戸弘陵と津名高校の試合です。結果は1対3で津名高校が神戸弘陵に負けてしまいましたが、決勝では神戸弘陵が神港学園に11対1で勝ったので、「(得失点差で)津名高は2位やな」って小学生なりに納得していたことを覚えています。

――かみじょうさんは高校まで淡路島で過ごしていますが、明石まで野球観戦によく行っていたのですか?

 いえ、なかなか行けなかったです。僕は高校まで野球ではなくテニスをやっていたので、普段は部活がありました。休みの日に友達とフェリーに乗って野球を観に行ったことはありますが、当時は明石海峡大橋がなかったので、そこまで行きやすくなかったんです。しかも子供の頃は遠出するには親の許可をとらなくてはいけなくて。

 親父と一緒に野球を観に行ったのは前述の神戸弘陵と津名高校の試合と、甲子園で観た神戸弘陵と尽誠学園の試合と阪神の試合くらいです。大学に進学して淡路島を出たのですが、その反動もあってか、ものすごく試合を観に行くようになりました。

衝撃を受けた中田翔の打球速度

――2番目の球場はどこですか?

 うーん……。ちょっと迷いましたが、豊中ローズ球場(豊島公園野球場)を挙げたいです。以前、豊中市を含む北摂地域の街ぶら番組をやっていたことがあって、あの周辺はよく歩きました。その延長で、豊中ローズ球場に試合を観に行くことがあって。この球場は伊丹空港の近くにあり、着陸寸前の飛行機が目の前を飛んでいくので、スタンドにいると飛行機がものすごく大きく見えるんです。ジェット機の音のあまりの大きさに、試合中に選手が打席を外すことがあるくらいですから。

 最寄り駅の阪急線の曽根駅を降りると、近くに曽根商店街があるんです。昔、この商店街に「チロル」というカレー屋さんがありました。カツや串揚げを乗せてくれることがあって、「応援しているチームが試合で勝ちますように」と、ゲンを担いだこともありましたね。

豊中ローズ球場 【写真提供:斉藤振一郎】

――豊中ローズ球場は高校野球の大阪大会の球場のひとつですね。

 はい。大阪桐蔭の試合をよく観に行きました。特に覚えているのが中田翔(巨人)選手が出場した試合です。3年夏の初戦、四条畷北高校との試合で中田選手が打ったショートゴロの打球が速すぎて、四条畷北のショートが避けてしまったことがあったんです。記録はレフト前ヒットになりましたが、本当にすごい打球でした。

 中田選手が日本ハムに入団後、この話を本人に直接聞いたことがあります。「あの夏の初戦のショートゴロ、レフト前ヒットになりましたけれど、ホンマはショートゴロでしたよね」って。中田選手は全然覚えていなくて「かみじょうさんが覚えてくれていたら、それでいいです」って言っていましたね(笑)。

 藤浪晋太郎(阪神)投手がいた頃の大阪桐蔭の試合も印象的でした。夏の3回戦、門真西のエース・岩佐稜平が好投し、一時は門真西がリードしていたのですが、3回裏に当時2年生の森友哉(西武)選手のホームランで同点に追いつかれ、最終的には2対6で大阪桐蔭の勝利。こういう、大阪桐蔭の試合はたくさん観ました。

――豊中ローズ球場は強豪・履正社の試合もよく行われていますね。

 履正社の関本勇輔(現日大)君の特大ホームランも見ましたよ。観ていて「えぇぇー!」ってなった、衝撃的な一発でした。レフトの高い防球ネットの一番上に当たるくらいのとんでもない打球で、あの防球ネットがなかったら(隣の駅の)服部天神駅まで行くんちゃうかって思いましたよ。

 この試合はお父さん(関本賢太郎=元阪神)も見に来ていました。僕はいつもABC(朝日放送)でお会いするのですが、この日ばかりは笑顔で喜んでいるかと思いきや、挨拶をしたら冷静な保護者の顔で。試合後に会っても「まだまだですよ」と言っていましたが、本当は嬉しかったでしょうね。

 豊中ローズ球場は夏の甲子園開幕前、出場校が練習場所として使用しています。この時期、球場横にある豊島公園では豊中まつりが開催され、とても華やかになるのですが、この会場を練習後の常総学院の木内幸男元監督が歩いていたことがあって。「うわっ! 木内さんや!」「(2003年に夏の甲子園で優勝したときの主将だった)松林康徳君がコーチとして帰ってきてるんや!」ってなりましたよ。

「来夢来人」で元大洋・加藤博一と相席

――3球場目はどこになりますか?

 高校野球の聖地・甲子園球場です。僕はアルプススタンドが好きで、ここより良い観戦場所はないと思っています。アルプススタンドを見下ろせる場所にマンションが建ったら僕は絶対に買いますよ(笑)。ベンチに入れなかった選手と保護者がたくさんいる、球場の中で最も応援が熱を帯びる場所で、僕はアルプススタンドの最上段からその様子を観るのが好きなんです。

 甲子園周辺は随分変わりましたね。昔は「来夢来人」という軽食を食べられるお店があって、大学時代に後輩と2人で松坂大輔(元西武など)率いる横浜高校の夏の甲子園決勝を観戦した後、この店に入ろうとしたら満席だったんです。諦めて店を出ようとしたら「おう、あんちゃん達! ここ2人だったらいいよ!」っておじさんの声がして、相席させてくれたんです。それで「すみません」と言って席に座ったら、そのおじさんが元大洋のスーパーカートリオの一人、加藤博一さんだったんですよ。

1985年に高木豊、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」を結成した加藤博一。同年、打率.280、48盗塁、リーグトップの39犠打をマークした 【写真は共同】

――それは驚きますね。

 ビックリしましたよ。「うわっ! 加藤博一さんや!」ってなりましたもん。家族で甲子園に野球観戦に来ていたようで、この日の松坂の投球内容に対する加藤さんの感想など、貴重なお話をたくさん聞かせてもらいました。しかも、帰るときには僕たちが食べた分まで黙って支払ってくれたんです。

――その後、加藤博一さんと会う機会はありましたか?

 残念ながら、ありませんでした。元気なときに会って、改めてお礼を言いたかったのですが……。「今、もう一度会いたい人は誰ですか?」と言われたら、僕は「加藤博一さん」と即答しますね。僕らのような学生にも本当に良くしてくれたので。それが一番の心残りです。

アルプススタンドでネタ披露!?

――かみじょうさんは09年夏の甲子園で準優勝した日本文理のエース・伊藤直輝投手(現ヤマハ野球部マネージャー)のお父さんとの交流もあるんですよね?

 僕が皿洗いのアルバイトをしていたスナックの常連さんが伊藤君のお父さんでした。この年の夏の甲子園の開幕前、J:COMのロケで球場の外でマイクを持って立っていたら、いきなり伊藤君のお父さんに「お前、皿洗いだったのにマイク持つようになったんか! 成長したなぁ」って抱きつかれたんですよ(笑)。

 しかも僕、伊藤君のお父さんから「おい、芸人! 板東英二のモノマネやれ!」って言われて、決勝前の一塁側アルプススタンドで披露したことがあるんですよ(笑)。チームを元気づけるためにと思ってやったんですが、誰も見ていなかったですね。まさかこんなところでネタを披露するなんて思いませんでしたよ(笑)。

日本文理のエース・伊藤直輝。決勝の中京大中京戦、日本文理は9回2死から5点を奪い、1点差に迫る猛追を見せるも9対10で惜しくも敗れた 【写真:アフロ】

――球場は本当に様々な出会いをもたらしてくれる場でもありますね。

 そうですね。京都のわかさスタジアムで話しかけてくれた方が、智弁和歌山で活躍して20年にドラフト4位で日本ハムに入団した細川凌平選手のお父さんだったこともありました。「うちの子、ベンチに入れるのか分からないですが……」と話していたら、1年生からバリバリ試合に出て、あれよあれよとプロ入りを果たしてしまいましたからね。こういった出会いがあるのも、球場の魅力だと思います。今年も春のセンバツがもうすぐ開幕しますが、有観客で開催できたらいいですね。

――ところで、かみじょうさんは高校野球だけでなく、楽天ファンとしても知られています。楽天の本拠地・楽天生命パーク宮城は、どういうところに魅力を感じますか?

 楽天の本拠地は「家族にやさしい」ボールパークなんです。球場外の「スマイルグリコパーク」に観覧車やメリーゴーラウンドのようなアトラクションがあって、キャンプができるスペースもある。夏には屋台が並び、花火も打ちあがる「夏スタ」というイベントが開催されます。だから、野球にそこまで興味がない人がいても十分に楽しめるんです。いつの日か、仙台駅から球場までジェットコースターでつないでもらいたいですね(笑)。

かみじょうたけし

かみじょうたけし 【写真提供:松竹芸能】

1977年兵庫県生まれ。高校野球好きとして知られ、仕事の合間を縫って夏の地方大会や甲子園で行われる本大会を観戦。14年に出演した「アメトーーク!」の「高校野球大大大好き芸人」が大きな反響を呼ぶ。「MBSベースボールパーク」(毎日放送ラジオ)などに出演中。

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(企画構成:スリーライト)
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著者プロフィール

沢井史

大阪市在住。『報知高校野球』をはじめ『ホームラン』『ベースボールマガジン』などに寄稿。西日本、北信越を中心に取材活動を続けている。

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