<国内男子ゴルフ>新・選手会理事に聞く「男子ゴルフをどうするの??」(4)新・選手会長に聞く
だから谷原秀人は選手会長を引き受けた。
任期は2年。昨年末に、前任のげんちゃんこと時松隆光(ときまつ・りゅうこう)の満了が近づいたときに、「次は谷原さんにやってほしい」という声は、特に若手から多くあがった。
待望論と共に、「今やらないと」という本人の覚悟が合致。22-23年度の初就任に至った。
就任してすぐ取りかかったのは情報収集と、そこからの問題点の洗い出しと、対話。
「スポンサーさんに対しては勿論、JGTOや、僕ら選手同士もそうだけど、コミュニケーションが足りていない部分もあったのではないか。まずは情報が隅々まで行き渡るように」と、関係各所との意思疎通につとめる。
2017年から3シーズンを、主に欧州ツアーで過ごした。
異国で見てきたもの、温めてきたアイディアや施策もいま早急に、幹部会議で共有中だ。
数ある懸案事項の中でも谷原が真っ先に実現させたいことのひとつが、練習日からギャラリーに観戦していただける試合をひとつでも増やすこと。
「男子プロは怖い…って、よく言われますけど、そりゃそうですよね。いきなり真剣モードから見ていただくわけですから。日本ではほとんどの試合が本戦からしか入っていただけないけど、海外みたいに練習日から見られる試合がもっと増えれば、さすがに練習からピリピリしてる選手はいないですから。印象を変えられるチャンスも増えると思うんです」。
「そういう良いところは継続しながら、いろいろ変えていくのは難しいですけど、もっとこうしていきましょう、というお願いはできる。男子、ちょっと変わって来たなと言ってもらえるように。良いことはどんどん提案して、とにかく上を目指してやっていかないと」と、ベテランの新・選手会長は、ゴルフと同じく前のめり。
どんなアイディアも、周囲の協力や理解が得られなければ実現しないが、「小田孔明(おだ・こうめい)も中西直人(なかにし・なおと)も堀川未来夢(ほりかわ・みくむ)も、行動力と発信力を兼ね備えた熱い男ばかりですから」と、頼りになる3人の選手会・副会長に加えて、前任の池田勇太から、このたび選手会の事務局長を引き継いだ宮里優作も、新体制の要に据える。
母校・東北福祉大の2年後輩は、男子ゴルフきっての優等生とも言われ、「とにかく律儀で几帳面。誠実でまじめな男だし、考え方もフラットで柔軟」(谷原)ともっぱら評判の宮里が、16-17年の選手会長経験者であることも心強い。
「たぶん大丈夫と思う。この2年で絶対に男子ゴルフは良い方向に向かっていける」と、大船に乗ったつもりで漕ぎ出した。
「スポンサーやファンのみなさんに喜んでいただけて、なおかつ選手全員が思い切りゴルフに集中できる環境をいま作る」と、力をこめた。
昨年のツアー2勝(通算16勝)を契機にまたいつでも海外に飛び出すつもりだった。
「もちろん、スポットで出られる試合があれば今年も積極的に出ていくつもりです」と、じっとはしないが「以前みたいに向こうにずっと行きっぱなしで…というのは、しばらくおあずけですね」と、いったん自分の夢は後回し。
ひとまず2年は腰を据え、必ず2年で結果を出す決意だ。
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ