連載:プロ野球・好きな球場ランキング

好きな球場ランキングトップ10を発表! 神宮、マツダを抑え1位に輝いた球場は?

前田恵

3位、4位はアクセス抜群の都会の球場

駅から近い神宮球場、横浜スタジアム。仕事や学校帰りに行ける気軽さも人気の要因のひとつだろう 【写真は共同】

 さらに僅差で3位に入ったのが、明治神宮野球場。こちらは東京ヤクルトスワローズの本拠地であり、大学野球の「聖地」でもある。

「野外球場で一番好きです。夏の神宮は夕焼けも綺麗で花火も上がるし、楽しいです」

「ファンと距離感が近いのが魅力です」

 ブルペンも、試合終了後ベンチから引き上げる選手もかぶりつきで見られる、稀有な本拠地。選手にとっては勝ったあとの声援は心地よくとも、負けたあとのヤジをまともに食らうのは結構キツイかもしれない。

「神宮は駅から近いし、帰りも路線がたくさんあるので混まない」

「ウインナーのメガ盛りがうまい」

 特に大都市圏の場合、交通事情は球場の人気度にも影響する。間違いない。そして、「ウインナーのメガ盛り」……今度、食べてみます!

 4位は得票率10%台ながら、3位・神宮球場に迫る勢いの横浜スタジアム。2019年、20年とライト、レフトの両ウイング席が増設され、21年には東京五輪の会場にもなった。

「横浜スタジアムの青と、横浜の景色がとても良い雰囲気! スタジアムの周りの横浜公園や日本大通りも良い!」

「歓声がどの球場よりも響くから」

「グラウンドとの距離が近く臨場感があり、ファンの一体感もあるから」

 元町、中華街など横浜の主たる観光地も徒歩圏で、コロナ禍でなければ試合前後に食事や散歩を楽しむことができるのも魅力。スタンドの傾斜のキツさには賛否が分かれるが、その傾斜ゆえ「後方の席でも臨場感が楽しめる」との声も。

5位からはドーム球場がようやくランクイン

昨シーズンは、総勢100体の人型ロボット「Pepper(ペッパー)」によるロボット応援団が話題となった福岡PayPayドーム 【写真は共同】

 全体では5位ながら、パ・リーグの本拠地としては1位に立ったのが、福岡PayPayドームである。

「座席が窮屈でなく、傾斜もキツくないので、快適」

「初めてドーム球場ならではの演出や音響の素晴らしさを感じた球場です」

「ロボットがいて面白いから」

 エンターテインメント力が大いに評価されたのは、さすが情報通信系の親会社を持つ球団というべきか。そのほか、快適な居住性を評価する声が多かったのも特徴だ。

 6位は「元祖・ドーム」といえばココ、の東京ドーム。ユーザーの年代によっては不思議に思うかもしれないが、東京ドームが誕生したばかりの頃は、「ドーム」といえば一択「東京ドーム」だった。いまだ「東京ドーム」をただ「ドーム」と呼ぶ人がいたら、その人は間違いなく1988年からPayPay(旧福岡)ドームができる93年までの野球を知る世代である。

「ホームランが多い」

「ナイトゲームのとき、夜の東京ドーム及び東京ドームシティがとても綺麗だから」

「天候の心配がない」

 東京ドームができたときは、あれでも「広い」と言われていた。それがいつの間にか、フェンスギリギリの打球が「ドームラン」と一部揶揄されるようになってしまった。一方でドームは天気を気にしなくてもいい、砂埃を気にしなくてもいい、トイレの心配をしなくていい、と女性ファンにとっては待望の機能や設備を持つ球場である。ちょうど西崎幸広(日本ハムほか)、阿波野秀幸(近鉄ほか)といった女性人気の高い選手がパ・リーグ入りした時期と重なったこともあるのだが、ドーム出現が女性ファン増に貢献した部分は大きかったと思う。

 思わぬ苦戦を強いられたのが、7位のZOZOマリンスタジアムである。正直、もう少し上位に食い込むのではないかと予想していた。

「風が吹いて、プロ野球選手でもエラーなどが観られるから面白い!!」

「ロッテの応援の後押しが凄いから」

「風の強さ」と「ホームチーム・アドバンテージを大いに感じさせる応援」というスタジアムの二大要素が、今回のアンケートでは吉と出たか凶と出たか。

 8、9、10位とご覧のようにパ・リーグの本拠地が続く。下位ながらも京セラドーム大阪、ほっともっとフィールド神戸、楽天生命パークは、

「どの席からも見やすい。席がゆったりしている」(京セラドーム)

「天然芝が美しい。外野のフェンスも低く、ブルペンもスタンドから見える素晴らしい球場」(ほっともっとフィールド)

「遊具も食べ物もいろいろあって楽しい」(楽天生命パーク)
と、それぞれ特長があり、ファンに愛されるスタジアムだ。

 振り返れば、ほっともっとスタジアムがグリーンスタジアム神戸としてオリックスの準本拠地となった当初……他球場にはなかったスタジアムDJが一生懸命場内を盛り上げようとしている声が、数も反応も少ない観客(なんせ、阪急ブレーブスといういかにも玄人好みのしそうなチーム時代からのファンがほとんどである)のいるスタンドをすり抜け、神戸の山々に響いていた。あの頃からの様々な積み重ねがイチロー時代、そして昨季、結実したといえよう。

(企画構成/株式会社スリーライト)

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著者プロフィール

1963年、兵庫県神戸市生まれ。上智大学在学中の85、86年、川崎球場でグラウンドガールを務める。卒業後、ベースボール・マガジン社で野球誌編集記者。91年シーズン限りで退社し、フリーライターに。野球、サッカーなど各種スポーツのほか、旅行、教育、犬関係も執筆。著書に『母たちのプロ野球』(中央公論新社)、『野球酒場』(ベースボール・マガジン社)ほか。編集協力に野村克也著『野村克也からの手紙』(ベースボール・マガジン社)ほか。豪州プロ野球リーグABLの取材歴は20年を超え、昨季よりABL公認でABL Japan公式サイト(http://abl-japan.com)を運営中。

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