連載:データで可視化「球団別・長所と短所」

次世代のローテーション投手が大きな貢献 データで可視化「球団別・長所と短所」パ・リーグ投手編

楽天

【データ提供:データスタジアム】

長所:先発、救援ともリーグ平均を下回る投手が少ない
短所:先発陣の高齢化


 楽天は救援陣がリーグトップの貢献度を記録。圧倒的なピッチングを見せていた松井がシーズン後半にケガで離脱するも、厚い選手層で痛手とはならなかった。今オフは目立った投手補強を行っていないが、宋家豪とブセニッツの契約延長に成功。勝ちパターンとして活躍した酒居、安樂とともに、今年もリーグ屈指のリリーフ陣を形成できそうだ。

 対する先発投手もリーグ平均を上回る貢献を見せた。とはいえ、開幕前に期待されたほどの成績は残せなかった印象だ。エース級の活躍が期待された田中将、開幕投手を務めた涌井の貢献度は伸び悩んだ。そうした中、ルーキーの早川がチームトップの貢献度を記録。さらに2年目の瀧中が2ケタ勝利を達成するなど、次世代のローテーション投手が活躍を見せた。岸、則本といった実績抜群の投手も結果を残したが、田中たちも含めて先発投手にベテランが多いだけにコンディション管理は細心の注意を払いたいところ。昨年ケガに苦しんだ塩見や辛島といった面々とともに、負担を分散できるような起用が求められる。

ソフトバンク

【データ提供:データスタジアム】

長所:千賀の高い貢献度。救援陣の層の厚さ
短所:マルティネスの退団


 ソフトバンクは先発、救援ともに貢献度がリーグ平均を上回った。ただし、リーグ2位の貢献度を誇ったマルティネスが退団。これを受けて、シーズン途中に家庭の事情で退団したレイと今オフに再契約。さらにメジャー通算52勝のチャトウッドを獲得し、穴埋めを図っている。ケガで13試合の登板にとどまったエース・千賀も、今年は大黒柱としてチームを支えていきたいところだ。昨年は東浜、武田など実力を発揮しきれなかった選手も多く、彼らの出来が上位進出へのカギを握る。

 対するリリーフ陣は、森とモイネロが一時ケガで離脱したこともあって、勝ちパターンをなかなか固定できなかった。選手層の厚さで何とかカバーしたものの、絶対的なリリーバーは不足している。そうして迎えたオフには、中日からFAとなった又吉を獲得。救援陣に大きな戦力が加わった一方、人的補償で実績のある岩嵜が移籍することとなった。高い貢献度を記録した津森に加え、泉、甲斐野など期待の若手も多い。各々がさらなる飛躍を遂げて盤石の布陣を整えたいところだ。

日本ハム

【データ提供:データスタジアム】

長所:強力な先発陣
短所:絶対的な救援投手の不在


 日本ハムは上沢とルーキーの伊藤が大きな貢献度を記録するなど、先発陣が優秀だった。加藤も規定投球回をクリアしてプラスをつくっている。現時点でバーヘイゲンの去就は不明だが強力な先発陣といえるだろう。さらに今オフは2人の新外国人投手が加入。ガントはメジャー通算173試合に登板して防御率3.89と実績がある投手だ。ポンセは先発、リリーフどちらでも可能な助っ人で、チーム状況に合わせた起用となるだろう。昨季終盤に好投した2年目の立野など、既存戦力のさらなる上積みも期待される。

 救援に目を向けると、リーグ平均レベルの投手を数多く抱えることで、穴のない布陣となっている。23歳で最優秀中継ぎに輝いた堀、実績抜群の宮西、昨年抑えに転向した杉浦が今年も救援陣の中心となるだろう。また、2020年にトミー・ジョン手術を受けた石川直が今年は戦線復帰する見込みだ。かつては勝ちパターンとして活躍を見せただけに、コンディションが万全であれば頼もしい戦力となるはずだ。

西武

【データ提供:データスタジアム】

長所:平良の存在
短所:選手層が非常に薄い


 西武の投手陣は非常に厳しい数字が並ぶ。プラスの貢献を見せた投手はわずか5名にとどまった。そんな中、迎えたドラフトでは1位・隅田、2位・佐藤と即戦力として評価の高かった投手を上位指名。オフに入ると、先発候補としてエンス、リリーフ候補のボー・タカハシと積極的に補強を行った。とにかく投手の強化が必要不可欠だっただけに、今オフの動きは適切だったといえるだろう。

 昨年の先発ローテーションは高橋、今井、松本が中心となった。貢献度がマイナスではあるものの、3人ともリーグの投球回上位10傑に入るなどチームに欠かせない存在である。先述の新戦力に加え、與座や渡邉といった若手が彼らに続けるか。救援投手では平良が孤軍奮闘の活躍を見せており、終盤1イニングは計算が立つ。ともに勝ちパターンを務めたギャレットは退団となったが、シーズン途中にトレードで獲得した公文が好投しているのは明るい材料だ。昨年は誤算だった増田の復活があれば、勝ちパターンは強固なものになるだろう。

総括

 昨季は西武とロッテの2チームが他球団に大きく遅れを取る形となった。西武は隅田と佐藤のルーキーコンビ、助っ人のエンスがカギを握る。昨年はルーキーの伊藤と早川がそれぞれチームトップの貢献度を記録するなど、投手は新戦力が主力に化けることも多い。去年のオリックスのように、前年最下位の西武が下克上を成し遂げる可能性もあるだろう。そして、今年最大の注目はなんといっても佐々木朗希だ。大器の片りんを見せた令和の怪物が、いよいよ本格稼働を迎える。ローテーションを守りながらいったいどんな成績を残してくれるのか、今からシーズン開幕が待ち遠しい。

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