今季注目、B3の長崎ヴェルカに熱視線 本場仕込みのバスケ文化を長崎に構築

目標はB3優勝、B2昇格、さらに2026年の新B1参入を見据える

宇都宮ブレックスでB1制覇を経験したジェフ・ギブスをはじめとする有力な選手がそろった 【(c)n_velca】

 クラブの理想的なあり方を追求する中、ファン感謝祭やプレシーズンゲームが無観客開催になり、ファンの前でのプレーもさることながら試合運営も未経験のまま開幕を迎える。しかし、それでも伊藤GM兼HCは現場サイドと運営サイドの一体感を感じているところだ。

「会社の雰囲気は一致団結して、強化と運営の間に壁がないというか、距離感はすごく近いと思います。お互いをリスペクトしている印象がありますし、選手も事業の方針を理解しようとしている。特別なクラブになっていくような感覚はありますね。ホームゲームが始まれば、その絆はより強くなっていくと思います」

 そして、伊藤GM兼HCの本分である強化に関しては、前述の通り実績豊富な選手をそろえてみせた。その顔ぶれを見るとプレーのクオリティーに着目しがちだが、伊藤GM兼HCが重視したのは人間性だ。

「まずはクラブの理念とミッションを明確にして、それを一緒に達成できる選手を集めようという方針を立てました。その“ヴェルカスタイル”を体現してくれる選手ということで、人間性の部分をコーチや共通の知り合いにリサーチして、その選手の良さを理解した上でオファーさせてもらいました。プロである以上、やはり長崎の皆さんに愛される選手でなければいけないし、勝ち負け以上に文化を作っていく部分でも貢献してくれる人でなければいけない」

 戦術面では、先頃の東京オリンピックで女子日本代表が見せたような「5アウト」を採用する。エクスキューションという単語が頻繁に使われるように、「日本は遂行することが目的になっている傾向がある」と伊藤GM兼HCは指摘。「良いシュートを打って得点する」ためにも、常にシュートや1対1を狙う姿勢や判断力を選手から引き出そうというのが狙いであり、アメリカのバスケットに長く触れてきた伊藤GM兼HCが長崎で体現しようとしている理想の1つだ。

 チームとして初の公式戦となる天皇杯2次ラウンドを控えた段階では、チームの完成度を「20パーセントか30パーセント」と厳しく評価。「予想がつきにくい、怖いリーグ」と警戒するB3で戦うにあたり、「『勝って当たり前』という期待もあると思いますが、選手もそう思ってしまうと足をすくわれる。われわれはチャレンジャー。すべてのチームをライバルだと思って臨まないといけないと感じています」と気を引き締める。

2024年の夏までに完成予定のアリーナ。長崎市にサッカースタジアムや商業施設と併設されることになっている 【(c)n_velca】

 もちろん、今季の目標はB3優勝とB2昇格。その上で、2026年に予定されている新B1への参入も見据え、Bリーグ全体に強烈な印象を与えたい思いが伊藤GM兼HCにはある。

「どのチームよりもハードにアグレッシブにプレーし、どこよりも速い展開や5アウトのオフェンスといった今までのBリーグにない革新的なスタイルを持ち込みたい。そして、チームだけではなくヴェルカとジャパネットグループ、パートナーの皆さん、長崎県民の皆さんと一丸となって、その驚異的な存在感をBリーグにアピールしたいと思います」

 その根底にあるのは、「住みやすいし、人も大好き」と愛着を持った長崎の地に対する思いと、日本バスケット界の発展に尽くしたいと自身がかねて持ち続けている強い決意。チームの成績もさることながら、それ以上にクラブとしても日本バスケット界をけん引する長崎ヴェルカと、その中で重要な使命感を携える伊藤GM兼HCの一挙手一投足から目が離せない。

「先にサッカーのV・ファーレン長崎があって、県民をワクワクさせてくれている。それと同じようにバスケットも、毎日の生活がより幸せになると皆さんに思ってもらえるクラブになりたい。プロチームができたことでプロを目指す子どもたちも増えると思うので、長崎のバスケットの人気や強化という面でもヴェルカが貢献したいですし、そのことで日本のバスケットの価値向上を引っ張っていけるように頑張っていきたいと思っています」

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