三河・コリンズワースが生かす異色の経歴 B初の4戦連続トリプルダブルで月間MVP

大島和人

4月24日の島根戦では、チームは敗れてしまったが、20得点22リバウンド12アシストとモンスタースタッツを記録した 【(C)B.LEAGUE】

――NCAA時代にもトリプルダブルの記録を作っていますが、もっと体格のいい、インサイドの「本職」がいる中で、何故それだけリバウンドを取れているのですか?

 自分にはボールへの執着心がありますし、センスで取っている部分もあります。ボールに対するエナジー、パッションは一つのポイントです。

 他にいくつかコツがあって、一つは必ずボールを見ています。他の選手は試合中にボールを見ていないときがある。自分はボールを見ているからどの角度でどう跳ねる、どう落ちる、どう転がってくるかが読めて、それでリバウンドを取れているんだと思います。

――シュートのアーチ、コースを観察して「ここに当たればこう落ちる」という予測を他の選手より早く立てているわけですね。

 それは間違いないです。予測もありますし、自分の味方を練習から常に観察しています。シュートを打つとき、シュートをどう落とす傾向があるかを研究していて、それも一つのポイントです。あとボールを見ながらリバウンドを取りにいきますけど、ボールがリムに当たったとき、相手を抑えたりして、バランスを軽く崩させることが大事です。そうするとボールを取りやすくなります。
――PGは他の選手とのコミュニケーションが特に大切となるポジションです。英語の通じない選手もいる日本でプレーする難しさはありませんでしたか?

 もちろん言葉の壁はありましたが、シーズンの終盤にはチームメイトが自分をリーダーとして見てくれるようになっていました。自分をリスペクトしてくれたし、自分も日本語を少し覚えて、特にバスケ用語は身についていた。だから最後の方は良いコミュニケーションが取れていたと思います。

――コリンズワース選手はお父様も約40年前に宣教師として来日していたと聞いています。お父様から聞いた話が、来日につながっている部分はありますか?

 そう思います。日本については例えば「人の家に行くときは靴を脱ぐ」ことも聞いていましたね。父の話で日本の文化については分かっていました。

――「聞いていた話と違った」みたいな部分はありませんでしたか?

(少し考えて)本当に全くないです。自分はロシアの生活を経験していて、新しい言葉や新しい文化を学ぶことに慣れていました。日本に来たときはワクワクしていて、学びたいという気持ちがありました。
――コリンズワース選手も大学を休学して、ロシアで2年に渡って伝道活動をした経験をお持ちと聞いています。

 19歳から2年間です。その経験は間違いなくコート内でも生かされています。今シーズンも日本語を少し覚えられました。普通の外国籍選手より、日本語を習得するスピードは早かったはずです。新しい国でどう言葉を覚えるか、それもロシアの経験から学んだことです。普段から常にノートを持ち歩いていて、新しい単語を聞いたらノートにメモをして覚えていました。だから日本語も身についたと思います。

――シーホース三河のファンにメッセージをお願いします。

 シーズンの始めから終わりまで、多くのサポートをいただいて感謝しています。皆さんは自分を歓迎してくれて、気持ちよくプレーできるようにしてくれました。ファンのおかげでいい結果を残せたと思いますし、楽しいシーズンになりました。

――最後にBリーグのファン全体にメッセージをお願いします。

 日本のファンのエナジーはとても素晴らしくて、自分もそれをもらってプレーできました。SNSでも多くのファンから温かいメッセージをいただいて、アウェーの試合でも応援してもらって、それも嬉しかったです。本当にありがとうございました。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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