五輪延期が生んだ競泳の新星・佐藤翔馬 伸びしろ十分、平泳ぎの頂点狙える

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渡辺にも刺激「2位で代表権なんて欲しくない」

日本の「お家芸」とも言える平泳ぎ。世界記録を一時保持していた渡辺(写真手前)と佐藤が切磋琢磨すれば、世界の頂点も見えてくる 【写真は共同】

 もちろん、今回敗れた渡辺は、そうすんなりと追い越されるつもりはない。

 渡辺自身は、4月に向けた強化トレーニング中の疲労があり、この大会で好パフォーマンスを発揮するのは難しいと自覚しているため、あくまでも勝負は4月という心持ちでいる。しかし、やはり佐藤の勢いを強く感じているところはあるようだ。

「(佐藤は)2大会続けて2分6秒台で、今回は自己ベストを更新。これくらいの力はあるんじゃないかと思いますし、日本で2月という(強化時期で疲労のある)タイミングでこれだけレベルの高い勝負ができるのは、ほかの国のライバルにはないこと。緊張感のあるレースをできたことを嬉しく思う」

 若手の突き上げを歓迎した。

 一方で「もっと化ける可能性もある選手だと思うが、だからと言って、それが僕が負けていい理由ではない。思ったより悔しがっている自分がいることにビックリしている。4月の五輪選考会は僕自身の人生がかかるレースになる。僕や佐藤君がどのような泳ぎをするかということも、世界のライバルにインパクトを与えられる場になるんじゃないかなと思っています、2位で代表権なんて欲しくないので、ここから2カ月、練習に打ち込みたい」と、強いライバル心ものぞかせた。

 渡辺は、2017年に世界記録を破り、17年、19年の世界選手権で銅メダルの実力者。東京五輪は集大成の場。先頭を譲るつもりはない。しかし、そこに強烈な追い上げで並びかけ、渡辺が持つ日本記録を破らんとする佐藤が現れた。東京五輪の1年延期が国内のし烈な争いを生み、その切磋琢磨は、日本に輝かしい五輪のメダルをもたらすはずだ。

 4月の日本選手権、伸び盛りの佐藤と、世界の頂点を狙うメダリストの意地を見せる渡辺の争いから目が離せない。

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