“トランポリンの聖地”で育った石川和 パリ五輪へ、新天地で「足元を固め直す」
パリへ向けて「もう一度足元を固め直す」
石川(右)は4年後のパリ五輪に向けて「基礎練習を徹底的に続ける」と、自らの技術を見つめ直すつもりだ 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
「世界のレベルは年々上がって、難しい技を入れなければ勝てなくなっていて、3回宙返り半ひねりはもうマストになってきている。僕もそれをやってはいますが、まだ高さが出せなくて構成に入れると安定感がなくなる。そこを徹底的にやって、安定して高さを出せるようにするのが、今後の課題です。そのためにも、今は大体つかめているタイミングを狂わさないようにしながら筋力をつけていく必要があります。
来年は新しい所属になりますが、試合へ向けての練習はあまりしないで、基礎的なものを固めて感覚を研ぎ澄ませていこうと思っています。そして次の年には試合へ向けての練習を始めて日本ランキングの上位に食い込み、2023年には世界に出てから五輪という形で。とりあえず『ゼロから』という言葉通りに、まずは基礎練習を徹底的に続けるつもりです」
そんな思いもあったからか、大学最後の年に新型コロナウイルスによって多くの大会がなくなっても焦りはなかった。大学が使えない6月上旬までの1カ月間は茨城に帰って以前のクラブで練習をしたが、「コーチにも違う指導をしてもらったりして、逆に新しい感覚にも慣れたし、初心を思い出してプラスになりました」。これまでなら1カ月に1度は試合があったが、それがないことで来年からやろうと思っていた基礎練習にもこの時間に取り組むことができたのだ。
「まだ決まってはいないですが、できれば来年は東京を拠点にしたいと思っています。そうなればNTC(味の素ナショナルトレーニングセンター)で練習ができるし、伊藤選手がクラブ(クレイジートランポリン)を立ち上げたので、そこにも練習に行こうと思っています」
強豪クラブでの7年間で力を付けてきた石川は、もう一度じっくりと足元を固めたところから、目標であるパリ五輪を目指そうとしている。