“トランポリンの聖地”で育った石川和 パリ五輪へ、新天地で「足元を固め直す」

折山淑美

パリへ向けて「もう一度足元を固め直す」

石川(右)は4年後のパリ五輪に向けて「基礎練習を徹底的に続ける」と、自らの技術を見つめ直すつもりだ 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 来年3月には大学を卒業予定で、現在では日本オリンピック委員会(JOC)の就職支援制度「アスナビ」に登録しているほか、自力でも所属先を探している最中だという石川。目標とする2024年パリ五輪へ向けてこんなプランを持っている。

「世界のレベルは年々上がって、難しい技を入れなければ勝てなくなっていて、3回宙返り半ひねりはもうマストになってきている。僕もそれをやってはいますが、まだ高さが出せなくて構成に入れると安定感がなくなる。そこを徹底的にやって、安定して高さを出せるようにするのが、今後の課題です。そのためにも、今は大体つかめているタイミングを狂わさないようにしながら筋力をつけていく必要があります。

 来年は新しい所属になりますが、試合へ向けての練習はあまりしないで、基礎的なものを固めて感覚を研ぎ澄ませていこうと思っています。そして次の年には試合へ向けての練習を始めて日本ランキングの上位に食い込み、2023年には世界に出てから五輪という形で。とりあえず『ゼロから』という言葉通りに、まずは基礎練習を徹底的に続けるつもりです」

 そんな思いもあったからか、大学最後の年に新型コロナウイルスによって多くの大会がなくなっても焦りはなかった。大学が使えない6月上旬までの1カ月間は茨城に帰って以前のクラブで練習をしたが、「コーチにも違う指導をしてもらったりして、逆に新しい感覚にも慣れたし、初心を思い出してプラスになりました」。これまでなら1カ月に1度は試合があったが、それがないことで来年からやろうと思っていた基礎練習にもこの時間に取り組むことができたのだ。

「まだ決まってはいないですが、できれば来年は東京を拠点にしたいと思っています。そうなればNTC(味の素ナショナルトレーニングセンター)で練習ができるし、伊藤選手がクラブ(クレイジートランポリン)を立ち上げたので、そこにも練習に行こうと思っています」

 強豪クラブでの7年間で力を付けてきた石川は、もう一度じっくりと足元を固めたところから、目標であるパリ五輪を目指そうとしている。

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著者プロフィール

1953年1月26日長野県生まれ。神奈川大学工学部卒業後、『週刊プレイボーイ』『月刊プレイボーイ』『Number』『Sportiva』ほかで活躍中の「アマチュアスポーツ」専門ライター。著書『誰よりも遠くへ―原田雅彦と男達の熱き闘い―』(集英社)『高橋尚子 金メダルへの絆』(構成/日本文芸社)『船木和喜をK点まで運んだ3つの風』(学習研究社)『眠らないウサギ―井上康生の柔道一直線!』(創美社)『末続慎吾×高野進--栄光への助走 日本人でも世界と戦える! 』(集英社)『泳げ!北島ッ 金メダルまでの軌跡』(太田出版)ほか多数。

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