中断期間にチームが激変… 今、俺たちのJリーグが格段に面白い

エルゴラッソ

2月の開幕戦からリーグ再開後でゲームモデルが一変した横浜FC。布陣から人選、チーム戦術に至るまで何もかもが新しくなった 【写真:松尾/アフロスポーツ】

 面白い。格段に面白くなっている。
 再開後のJリーグだ。うだるような暑さも過酷な連戦もどこ吹く風。J1、J2、J3のカテゴリーを問わず、エキサイティングな試合の連続なのだから、フットボール信者にはたまらない。

1試合平均のゴール数の増加

 分かりやすいデータがある。
 
 1試合平均のゴール数だ。第10節終了時点におけるJ1のそれは2.83得点。直近10年間で最多の数になる。すごいと言えば、破竹の9連勝で首位を突っ走る川崎フロンターレだろう。何しろ再開後の1試合平均のゴール数が3.22。シーズン終了時の総得点が空前の3ケタに届きそうな勢いだ。

 川崎Fの鬼木達監督は「毎試合3ゴール」というミッションを選手たちに課しているとも聞く。ボールを持ったら前へ。いや、相手ボールでも前へと出ていく。それくらいアグレッシブなフットボールを実践しているわけだ。

ビルドアップとハイプレスの強化

川崎Fは再開後の1試合平均のゴール数が3.22。シーズン終了時の総得点が空前の3ケタに届きそうな勢いだ 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

 いわば、冒険的なスタイルがゴールラッシュの引き金になっている。ただ、前のめりの戦い方を志すチームは川崎Fばかりではない。今季J2から昇格してきた横浜FCもその一つだ。
 
 敵地に乗り込んだ2月の開幕戦では防戦に徹して、強豪のヴィッセル神戸と1-1で引き分けていた。ところが、である。再開後にゲームモデルが一変。布陣から人選、チーム戦術に至るまで何もかもが新しくなった。
 
 大ざっぱに言えば、籠城戦から野戦への転換である。攻めに転じると後方から粘り強くパスをつないで敵陣への侵入を試み、守りに回ると敵陣から人数をかけ、ボールを狩りに行く。もうフルモデルチェンジと言ってもいいほどだ。

 この大胆な変化には下平隆宏監督の明快な企図が見て取れた。ビルドアップとハイプレスの強化である。ここ数年、ヨーロッパのトップレベルではGKを絡め、後方から攻撃の組み立てを試みる攻撃側に対し、守備側が敵陣に踏み込んで圧力を強めながらボール奪取を狙う過激な攻防戦が一大トレンドになっている。

 当然、攻撃側のビルドアップを阻む力や守備側のプレスをかいくぐる力を備えたチームが優位に立ちやすい。その点を踏まえたモデルチェンジだろう。3-5-2の新布陣や試合中の戦術的な指示には、当代のトレンドや躍進を遂げたクラブのシステムを研究した跡がうかがえる。コロナ禍による中断によって、考えをめぐらせる時間を手にしたことがチャレンジの契機となったか。

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著者プロフィール

サッカー新聞エル・ゴラッソ。通称エルゴラ。国内外の最新サッカーニュースを日本代表の番記者、J1・J2全40クラブの番記者、海外在住記者が、独自の現地取材をもとに、いち早くお届けします。

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