Jリーグは無観客をいかに盛り上げたか? 情熱と工夫で結ばれた絆を再確認

エルゴラッソ

リモート応援でスタジアムを盛り上げる

 無観客試合を行うにあたって、空席よりも深刻なのは声援・応援がないということだったかもしれない。選手・コーチ陣の声だけが聴こえてくる光景はどうしても「練習試合」感が強くなる。そんな中で注目されたのが「リモート応援システム」だ。
「歓声」「拍手」などのボタンを押すことで、アプリを通じて会場のスピーカーに音声を届ける仕組みとなっており、歓声やチャントを送ることができる。ただ画面に向かうよりも応援している実感は強くなるだろう。
 ただこれについてはやや賛否もあり、リモート応援を実施していないクラブもある。

浦和・GK西川は感極まり涙

 最後に、もっとも再開に向けての気持ちとサッカーが戻ってくる喜びを表現したのがスタンドへの装飾だっただろう。
 各クラブが苦しい状況の中、ありったけの思いと労力をつぎ込み、スタジアムを飾り上げた。なかでも浦和が行ったコレオグラフィーは圧巻だった。赤・白・黒の6万枚のビニールに5000本を超えるタオルマフラー、Jリーグシャーレを模したコレオグラフィー……。圧巻の光景に、GK西川周作は感極まり、試合後インタビューで言葉に詰まる場面もあった。無観客のスタンドには、確かに「ホームアドバンテージ」があった。
 この件について、改めて話を聞こうと浦和スタッフに連絡を取ったが「もう次に向かって進んでいるので……」とやんわりとお断りされた。そう、状況はすでに観客「有り」のフェーズに入っている。振り返っている場合ではない。

 ただ、事態の終息には程遠く、COVID-19の脅威とはまだまだ付き合っていかなければならない。再び無観客試合を運営しなければならない事態が訪れる可能性もあるだろう。そうならないことを願うばかりだが、この事態で蓄積されたノウハウやクラブ内の結束、クラブとサポーターの絆は決して無駄にはならないだろう。

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著者プロフィール

サッカー新聞エル・ゴラッソ。通称エルゴラ。国内外の最新サッカーニュースを日本代表の番記者、J1・J2全40クラブの番記者、海外在住記者が、独自の現地取材をもとに、いち早くお届けします。首都圏の駅売店およびコンビニエンスストア・関西地域の主要駅売店にて発売中。

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