大迫・桐生・寺田が学生らと意見交換 今夏に“サマースクール”の開校が決定

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高校生たちとは桐生・寺田が、指導者たちとは大迫・寺田が意見交換を行った 【写真提供:株式会社アミューズ】

 男子マラソン代表の大迫傑(ナイキ)、男子短距離の桐生祥秀(日本生命)、女子100メートルハードルの寺田明日香(パソナグループ)が発足した「日本生命 高校陸上ウィズ・アスリーツ・プロジェクト」は、プロジェクトの第二弾として、6月28日、陸上競技に取り組む高校生と、部活動顧問教諭や指導者とともに、オンライン座談会を開催した。

 オンライン座談会では、高校陸上の現場の現状や高校生の本音、日々高校生に向かう指導者の思いなどを直接聞き、今後の活動に反映していくことを目的に実施。今回は、全国から高校生や指導者の応募の中から、高校生5名、顧問や指導者4名が参加し、アスリートたちと意見交換を行った。

大迫「これからに生きるスキルを」

 座談会終了後、指導者との意見交換を行った大迫と、高校生と指導者のそれぞれの意見も聞いた寺田が内容を振り返り、今後について意見を交わした。

寺田 公立・私立・高専の先生だったりと、先生方によって立場は違ったんですけど、共通点として学生、子供たち、高校生たちのモチベーションの下がり方や、下がった後にどうするかとか、自律を求めているところだったりとか、あとは保護者の方の関わり方というのはどの先生も共通点として悩んでいらっしゃるところなのかなと思いました。保護者に関しての目線は私たちもなかったので、そこにアプローチするのはありなんじゃないかなと思いました。あとは高校生も中学生と違って少しずつ親からの自律や社会に自分で進出していく姿が見えなければいけないと思ったので、そういう自律を促せる、かつ先生や親御さんともうまくやれる力を本人たちがつけていくのがいいかなと思いました。なのでそういうお手伝いができればいいなと思いましたし、どういうアプローチの仕方をしたら学生や保護者の方々に響くのかなと思ったので、そこは3人なりスタッフの力を借りながら考えていきたいと思いました。

大迫 やっぱりソフトスキルというところ。この状況を乗り越えていける力を養うことって今でしかできないことですし、それが結果この先、陸上競技を引退する学生であっても世の中に出たときに役立つと思っていて。保護者の方々の協力とかの対談とかをしてほしいという話があったときに、保護者の方というのはそういうところを子供たちに求めているのかなとすごく思いました。もちろん大会とかやってあげるってことはいいと思うんですけど、僕がやってあげたいのはそれ以上にこのコロナ禍の状況を逆に利用して、陸上をやっている選手、また陸上をやめてしまう選手にもこれからに生きるようなスキルを身に付ける手助けになるようなことができたらいいんじゃないかと思いました。

寺田 一緒に考えていくほうがいいよね。やっぱり一方的にというよりは先生方もそうだし、保護者の方々も含めていろいろな人に協力してもらいながら高校生たちを上げていくほうがいいのかなと少し感じましたね。自粛期間、コロナがあったからこそ家での時間とかが増えて親との時間も増えたし、逆に友達とのコミュニケーションの取り方も会って話すのじゃなくてやっぱりSNSとかLINEとか使ってコミュニケーションを取らなきゃいけなかった。だから自分から発信しなきゃ繋がれないんだなというのをこの期間中に思った子が多いんじゃないかなと思ってて。さっき先生方もおっしゃっていたけど、(子供たちの中で)温度差ができてしまったというのがコロナの期間で見えたことだから。モチベーションの高い子たちはどんどん自分をアピールしたりとか、自分から発信して上に上がっていけるけど、そうじゃない子たちをどう自律させていくかというのも結構鍵なのかなと思いましたね。

大迫 もう教育って感じですよね、そうなると。陸上競技を超えてもっと広い視野で僕らもやっていかなきゃいけない。ただ単に大会をセットアップしてあげるだけじゃ足りないんだなというのは思いました。

今後の活動に向けてのビジョンを語った寺田(写真上)と大迫 【写真提供:株式会社アミューズ】

寺田 どっちも必要だよね。陸上の上をもっと引きあげていくという面も必要だし、下を底上げしていくっていうのも。だから二軸で考えないといけないのかなと思うけどね。上を引き上げるためには高いレベルでの指導だったりとか、私たちがやってきたことを教えてあげたりとかアドバイスとかもしないといけないだろうし、環境の整備とかも大迫くんだったらアメリカの留学も含めて教えてあげないといけないと思うし。下だと幅も広いし人数も多いから、どのようにやったらいいんだろうな。それこそ教育の観点も入ってくるからね。

大迫 逆に指導者の方や保護者の方々をうまく巻き込んでやっていくっていうのはひとつかもしれないですね。一人一人選手っていうと僕もそうですけど自分目線だけのトレーニングになってしまうというか、自分の中にぐっと入りこんでしまうことが多いと思います。僕もコーチがいたりとか今までも先生と言われる存在がいましたけど、そういう人たちをうまく巻き込んでいくことによって、より大勢を、まあ教育といったら偉そうかもしれないですけど、僕らの思う正しい方向とか僕らの持っているソフトスキルを提供していくっていうことはできるんじゃないかなと思いますね。指導者とか保護者とかに対して僕らがモチベーターになって話をしていくことで、その保護者とか指導者が下にいる子たちをうまく教育していってもらうような。うまく説明できなかったですけど……(笑)。

寺田 そうだよね、顔を見ながらいろいろやったほうがいい気はするね。まだ会えないけど例えばウェブ会議システムを活用して顔を見てやるとか、見えないところで動くっていうよりは顔を見てやるほうが染みこみやすいっていうか、「あのとき大迫さんがこんなこと言ってたな」とかやはり残るんじゃないかなと思うんですよね。その先につながる何かにはなりそうな感じはあったよね。

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