再開後、不安より充実感が勝る岡崎慎司 香川と再戦には「応援したい気持ちも…」

工藤拓

過密日程の中で、岡崎が心がけていること

前節カディス戦では途中出場で、再開後の初ゴールを決めた 【写真:ムツ・カワモリ/アフロ】

――週2ペースの過密日程になり、特に心がけていることは?

 今までも自分にフォーカスすることは常に考えてきましたが、どっちかというとチームのスタイルに合わせて自分がどうするかと考えていた。今はどの選手が出るか分からないし、コンディション的にも内容的にもばらつきが出る中で、自分のプレーにフォーカスしていくのが一番大事だと思う。こういう状況でどういう選手が使われるかといったら、やっぱり何かを起こせる選手。攻撃陣だったら相手に対して問題を起こせる選手だし、ディフェンス陣だったら安定したプレーができる選手だと思うので。そういう意味では、攻撃的な選手としては違いを生み出せるプレーをやっていかなきゃいけない。危険がプレーをできたり、キープができたり。そういう気の利いたプレーができたりだとか、そういう部分だと思うので。

 もちろん僕個人としては毎試合90分出られる自信があるし、体力もあると思っているんですが、チームとはそういうものじゃない。そういう時に「出たいな、悔しいな」という気持ちよりも、与えられた時間で仕事をする、プレーしていくというところをより強く持つべきかなと思いますね。今回の4試合のうちの2戦目で先発を外れた時に、どこかで「えー、先発じゃないのか」と落ち込んだ部分もあるので。そういう部分を乗り越えて今は、一応4試合で1点取れたので。これをきっかけに次の試合からさらに自分にフォーカスして、チームを昇格できるような状況に持っていきたいなと思います。

――ポジションを争うラファ・ミル選手が再開後に4得点。お互い出た時に結果を出し、切磋琢磨(せっさたくま)できるのが理想?

 そうですね。自分にしか分からないこともあるし、その選手にしか分からないこともたくさんあると思いますし。今何が一番大事かというのは、やっぱり昇格することで、チームが勝たなきゃいけないので。そこに選手としても向かっていかなきゃいけない。お互いの良さがあるし、チームのスタイルもあるし、監督の選択もある。その中で選ばれた人間が今はやっていかなきゃいけない。この短いタイトなスケジュールの中で、誰でもいいからチームの中で結果を出せる選手が必要だと思うので。そういう選手に自分がなりつつあったので、もう一回その流れを取り戻して、今はいい流れで来ていると感じます。

サラゴサ戦は「死ぬ気で取りに行く」

「ここからのラスト7試合はもっと大事になってくる」と次節サラゴサ戦を前に決意を口にした 【スポーツナビ】

――次節の相手、2位サラゴサとは勝ち点6差。勝てば自動昇格が見えてくる

 昨日(現地時間6月25日)も(3位の)アルメリアが下位のチームに負けて、普通に勝ち点を落としている。上位だろうが下位であろうが、結構拮抗(きっこう)している。僕らも(16位の)アルバセテとか下のチームとやりましたが、あんまり試合が動かないんですよね、点が入るまでは。そういう今までとは違う展開の時に、上位もなかなかうまくいってないのを見ているので、ここからのラスト7試合はもっと大事になってくる。相手が取りこぼすというよりは自分たちがまず勝利して、相手にプレッシャーを与えていくことは可能なので。そういう意味では本当に、次のサラゴサをきっかけにしたい。むしろそこを取らないと僕らの昇格も遠ざかっていく。チームとしても死ぬ気でそこを取りに行くくらいの気持ちが今はあるのかなと思います。

――サラゴサとのアラゴンダービーはウエスカにとって特別な一戦

 僕もいろいろなダービーをやってきていますが、ダービーというのはやっぱり特別だと思う。ファンが入らないのですごく複雑なダービーになってしまうけど、それでも戦術や内容よりも気持ちと結果が必要になる試合だと思うので。タイトなスケジュールの中でなかなかアグレッシブなサッカーが展開できていないので、次の試合は僕らが開き直ってどれだけアグレッシブに相手にプレッシャーを与えていくかが鍵になってくる。チームでもそういう話をしているので。相手のチームは慎重になってくると思う。引き分けでもOKという考えで来ると思うので、自分たちがいかにそこを崩していけるかが重要になってくると思います。

――前回の対戦では自身も1ゴール決めて勝っているが、サラゴサの印象は?

 僕が住んでいるところもサラゴサで、真司ともよく話をするし、一回対戦していることもあり、よくテレビでも試合を見たりするので。いい選手もたくさんいて、前に絶対的なストライカーがいて、中盤に軸となる選手がいて、他の選手も穴がないという印象があります。前回やった時も、丁寧につなぐサッカーもできるし、カウンターの一発で点を取れる選手もいる。そういうところはすごく柔軟に戦える。経験のある選手もいますし。真司も含めて攻撃陣は怖い選手がたくさんいるので、(相手の)攻撃をしっかりしのいで、自分たちが主導権を握ることが重要になるかなと思いますね。

香川との再戦には「悠長なことを言っていられない」

サラゴサには長く日本代表でもプレーをし、プライベートでも仲の良い香川真司(右)がいる。今季2度目の「シンジ」対決が見られるか 【写真:田村翔/アフロスポーツ】

――香川選手も再開後は調子を上げている

 単純に状態が良くなっているという話も聞いているし、プレーを見ていても自信を持ってやれている。今まで調子がいいのに途中で代えられたりしているところも見ているので、90分使ってくれたらもっと結果を残している部分もあると思う。そういう意味ではあいつもこの試合をきっかけにしたいと思っているだろうし。絶対的な選手として使ってもらえるようになるための試合だと思うので、サラゴサとしても昇格するために重要な一戦になる。一番いいのはお互い試合に出て、自分も真司も結果を出して、僕らが勝つのが理想だと思うんですが。そんな悠長なことを僕らは言っていられないので、正直1点もやれないし、僕らが点を取って勝ちたいというのはありますね。

――プライベートでも仲の良い香川選手にメッセージを

 あ、真司にですか? そうですね、やっぱり試合になったら負けたくない。ちょうど最近も会っていろいろサッカーの話をしたりしてますけど、試合は別なので。やっぱり今回の試合では自分たちが勝って、僕もゴールを決めて、残り7試合で昇格するためのきっかけにしたいと思っているので。真司を応援したい気持ちもあるけど、今回の試合に関しては僕らが勝ちたいと思います。

――最後に、再開するJリーグについて。日本の選手とは連絡を取っている?

 清武(弘嗣)とか、(酒井)豪徳とか、仲が良い奴らはいるのでそういう選手と話したりしています。多くは話していないですが、僕もJリーグファンで、ハイライトも毎日見てますし、「日本にいる人よりもおまえ知ってるな」というくらい選手がどこにいるのか知っているんですよ。僕らは一足先にこうやってサッカーのある毎日が戻って、不安より充実している。やっぱりサッカーがあること、目標があることは幸せだと思う。やっている選手はタイトでしんどいなと思う日もあるかもしれないけど、僕個人としてはこれぐらいタイトでもいいなと思っているくらい、サッカーが毎日あるのは楽しいので。多分サッカーファンの人たちも毎日見る試合があるのは嬉しいと思う。Jリーグの選手たちは、厳しい日程だったりいろんなものがあるかもしれないですけど、そういう人たちがいることを必ず実感すると思うので。白熱した試合を見せてほしいと、Jリーグの人たちに伝えてほしいと思います。いつも見ているので、楽しみにしています。

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著者プロフィール

東京生まれの神奈川育ち。桐光学園高‐早稲田大学文学部卒。幼稚園のクラブでボールを蹴りはじめ、大学時代よりフットボールライターを志す。2006年よりバルセロナ在住。現在はサッカーを中心に欧州のスポーツ取材に奔走しつつ、執筆、翻訳活動を続けている。生涯現役を目標にプレーも継続。自身が立ち上げたバルセロナのフットサルチームは活動10周年を迎えた。

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