筑波大学の浅井教授に聞いた!話題のサッカーボールの効果とトレーニング方法

サカイク

【サカイク編集部】

サッカーの戦術は複雑化し、選手のアスリート能力も向上。ボール扱いの巧みさに加えて、それを活かすための判断力、身のこなしなど、様々な要素が求められています。

スポーツバイオメカニクスの研究を長年続ける、筑波大学の浅井武先生は「サッカーの戦術を実行するためにも、ベースとなる技術は大切です。それは、どれだけサッカーが進化しても、変わることのない事実だと思います」と言います。

技術を思いどおり発揮するために重要な「調整力」について、サカイクが開発したトレーニングボール「テクダマ」を使った具体的なトレーニングを教えていただきました。

■ミスが少ない選手は身につけている「調整力」

やろうとしたテクニックが実現できなかった時に、リカバリーするための動きは、"調整力"の一つです

味方のパスが思ったところに来なかったり、少しトラップが大きくなってしまったりなど、イメージどおりにボールが来ないことはサッカーではよく起こります。その時に、足や体を少し動かして、ボールをコントロールするなどの対応が必要になりますが、「その反応速度、身のこなしを高めていくことが、サッカーがうまくなるためのポイントのひとつ」だと浅井先生は教えてくれました。

反応時間を早くするためには、神経系を鍛える必要があります。さらに、神経系というソフトウェアだけでなく、体というハードウェアも同時に鍛えることが重要になります。メッシやネイマール、イニエスタといった選手達は、人一倍その能力が長けているそうです。

「技術が高い、ミスが少ないと言われている選手は総じて"調整力"が長けている選手と言えます。現代サッカーは速さや強さが求められていますが、技術が高ければミスや余計な時間のロスも少ないので、結果として速さを生みます。筑波大学で監督をしていた、風間八宏さんもそう言っていました。基礎的な止める・蹴るのスキルは、上のレベルに行けば行くほど求められますし、筑波の選手にも口を酸っぱくして言っていましたね」

■様々な動きを交えながら練習することがポイント

サッカーのスキルを身につけるためには、判断力や調整力を伴う状況下で、ボールをたくさん触ること。ドリブルやテクニックが際立っている選手は、子どもの頃からたくさんボールに触り、技術を磨いてきました

「最近、ストリートサッカーを見かけなくなりましたが、大人と子どもが一緒になってプレーして、間合いやリーチの違う相手と戦うことは、技術や判断、調整力を養うには良い環境ですよね」

日本の選手が海外の相手と試合をした後に、「間合いが違った」「足の長さが違うので、イメージ以上に足が伸びてきた」というコメントを聞くことがあります。サッカーのプレーにおいて、ボールや相手の動きに合わせて、体を動かして対応する"調整力"は不可欠です。浅井先生は、調整力を高めるためには「様々な動きを交えながら練習することがポイントです」と言います。
「たとえば、同じ位置からシュートの練習をするよりも、ゴールまでの距離がそれぞれ異なる位置からボールを蹴るほうが、ズレを調節する力が身につきます。グラウンド状態によって、どのぐらいの力で蹴れば、狙った場所にボールが飛んでいくかも変わるので、環境に応じて、力の出し具合を調節する力は不可欠だと思います。バスケットボールのフリースローも同じ位置からたくさん練習するよりも、複数の位置から入れる練習をした方が、結果的にフリースローの確立も高まるというデータもあります」

浅井先生は「調整力や瞬発力、コーディネーションなどは、ぱっと見でわかりづらいので、手をつけにくい部分だと思いますが、サッカーをするにあたってすごく重要な能力なのです」と、言葉に力を込めます。

「調整力と言うと、なにやら難しそうに聞こえますが、おはしで食べ物をつかんで、口まで持ってくることができる人であれば、身についている能力ですよ」
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ジュニアサッカーの保護者向け情報サイト「サカイク」。「自分で考えるサッカーを子どもたちに。」をテーマに、サッカーと教育に関する幅広い専門情報をお届けします。

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