【#STAYHOMEのすすめ】『スタンフォード式 疲れない体』著者の山田知生さんが教える「心と身体のケア方法」

構成:スポーツナビ

【写真:アフロ】

 新型コロナウイルスの流行によって、外出自粛を余儀なくされている方が多いはず。しかし、家にいる時間が増えるにつれて、心身に支障をきたしている人も少なくないのではないでしょうか。

『スタンフォード式 疲れない体』の著者であり、スタンフォード大学でアスリートたちのケガの予防からメンタルのコンディションまでサポートする山田知生さんに、心と身体をケアする方法について教えていただきました。

外出自粛は心身にどんな影響を与えるか

【写真:アフロ】

 これまでそれほどアクティブに身体を動かしてこなかったという人でも、外に出て歩いたり、階段を上り下りしたり、物を持ち上げたりしていたはず。家にいる時間が増えると、そういった運動すら減ってしまいます。そうなると、当然筋力も落ちますし、心肺機能も落ちます。血の流れも悪くなり、脳にうまく酸素が供給されなくなることもあるでしょう。

 そして、室内にいる時間が長くなると、日差しを浴びる機会が減ります。外で日差しや紫外線を浴びられなくなると、ビタミンDなどの栄養素の吸収が疎かになって体調不良を起こしたり、気分がすぐれなくなったりといった障害も起こるでしょう。外に出ると、目からさまざまな情報が入りますが、いつも同じ情報しかない家の中に居続けると脳への刺激が減ってしまいがちに。自律神経や他の神経にも支障をきたしてくるでしょう。

 また、人間は人と交わっていないと、自分の気持ちが高まらず、未来のビジョンも立てにくくなりがちです。人と話す機会が減ると、情報が入ってくる量も変わってきますし、少しずつ気分も下がってくるかもしれません。

心と身体が元気になる「3つのケア方法」

■ポイント1:下半身を使った有酸素運動と呼吸法で運動不足を解消!

【写真:アフロ】

 運動不足になると、当然ながら筋力が衰えてきます。普通の生活に戻ったときに、今まで歩けた距離を歩くことができなくなったり、心肺機能が落ちるために疲れやすくなるかもしれません。筋肉の強度が落ちると足がなかなか上がらなくなるため、ちょっとした段差でつまずいてしまい、けがの元にもなりかねません。

 運動不足を解消するために、おすすめしたいのが「踏み台昇降」です。日頃あまり運動をしていない方であれば10〜15cm程度、もともと運動習慣がある方なら15〜20cmぐらいの高さの台を利用して上り下りをおこないましょう。

 テンポは1分間で24〜25回程度上り下りできるくらいがベスト。最低でも15〜20分ぐらい、日頃からよく歩く習慣がある人は1日に30分ぐらいを目安に行いましょう。休みなしで一気におこなうのは大変ですので、朝に10〜15分、夕方に10〜15分行うなど、時間を区切ってやるのもひとつの手。1セット目は右足からスタートし、2セット目は左足からスタートするなど、両足の筋力が衰えないように心がけるのもポイントです。

 踏み台昇降を行うことで、股関節の前の筋肉から大腿四頭筋、ふくらはぎの筋肉を鍛えることができます。これらの大きな筋肉を動かすことで血流の流れも改善され、有酸素運動で心肺機能の低下を防ぐ効果も期待できます。

 また、自律神経の乱れを整えるためにおすすめしたいのが「IAP(Intra Abdominal Pressure)呼吸法」です。IAP呼吸法のポイントは、鼻から息を吸い、お腹の前・横・後ろ全体を広げるような感じで大きく吸うこと。そして、その大きさをキープするように、一気にろっ骨を下げながらゆっくりと息を吐くことです。開いていたろっ骨が内側に戻って、少し下がるような感じになり、横隔膜の上げ下げができるスペースをつくるのをイメージしましょう。

 慌てずにゆっくり4秒ほどかけて鼻から吸って、6〜7秒ぐらいでゆっくり吐ききるように呼吸します。息を吐ききってもすぐに息を吸わず、2秒ぐらい制止してからまた息を吸って吐くというペースでおこないましょう。

 このIAP呼吸法は、腰回りを安定させてけがの予防につなげる目的でおこなうこともありますが、「自律神経を整える」のにも効果的です。スタンフォード大学の学生たちにも指導しています。横隔膜には自律神経もたくさん通っているため、疲労回復も期待できます。1日に2分程度で良いので、IAP呼吸法を取り入れてみましょう。

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