日本女子マラソン動かす22歳の次代エース 一山麻緒、転向1年でつかんだ五輪切符
スピード強化→マラソンへ 着実にステップアップ
指導する永山忠幸監督(右)は「競技者として素晴らしい資質がある」と一山を評価する 【写真:森田直樹/アフロスポーツ】
そして社会人2年目の2017年には5月に1万メートルで自身初の31分台となる31分49秒1を出すと、3000メートルと5000メートルでも自己新記録をマーク。12月の山陽女子ロードレースでは、2016年リオデジャネイロ五輪代表の上原美幸(第一生命)からわずか1秒遅れの1時間9分14秒の3位に入り、次代の日本女子マラソンを背負う候補として名前が挙がるまでになっていた。まさに、しっかりステップを踏んでのマラソン転向。初マラソンから1年でここまで上り詰めたのも、彼女の「マラソンをやりたい」という思いにブレがなかったからだ。
挑戦する姿勢に見た“MGC効果”
1月の大阪国際は、中盤以降に記録を狙う走りをしたのは松田のみだったが、今回はチームメートの安藤のみならず、一般参加の佐藤早也伽(積水化学)や細田あい(ダイハツ)も中間点以降まで参戦し、29キロの仕掛けから遅れた安藤も、後半粘って2時間22分41秒で2位に入った。事前の練習があまりこなせなせず、当初は5キロ17分台の第2集団で行かせる予定だったことを考えれば、復活の気配を見せる走り。また、初マラソンだった佐藤も29キロまでついて、2時間23分27秒で5位。25キロ手前まで粘った細田も自己新の2時間26分34秒で8位と、挑戦する姿勢を見せた。
男子のみならず女子も、まだ少人数ではあるが挑戦する意識を前面に出すようになったのは、MGC効果だろう。五輪代表を手にできなかった松田も、これからは一山の記録や2時間19分台をターゲットにするはず。日本女子マラソンも、一気に動き出しそうな状況になってきた。