石島雄介が示す“砂浜のバレー”への適応 白鳥との最強ペアで挑む東京五輪のビーチ
ペアを組む白鳥は技術・経験共に一級品のレジェンド
石島(右)が手放しで称賛するのがペアを組む白鳥(左)。2人でプレーする競技においてペアの存在は重要だ 【写真は共同】
そのため、国より選手により注目してもらいたいですね。例えば、あるペアが共に190センチくらいで、相手のブロッカーやレシーバーが共に2メートル越えの大きいペアだったとしたら、背の低いペアがどういう戦い方で勝ちにいくのかに注目してほしいですね。戦術によっていかにそうした大男たちに勝つかがビーチバレーの醍醐味(だいごみ)だと思います。必ずしも大きい選手同士、強い者同士が組めば勝てるというわけではないんですよね。そういう意味では、ビーチバレーボールのペアは「恋愛みたい」だと言われますね。
僕がペアを組んでいる白鳥さんには、いつも助けられています。白鳥さんは経験や技術が本当に一級品ですし、試合の流れを読む力にもものすごく長けています。風が吹いたり、暑さが厳しくなったりすればするほど真価を発揮するタイプです。「砂の上の戦いを制している」と言えるくらいすごいですね。ちょっと自分には真似できないなと感心しています。
基本的に僕がブロッカーで、白鳥さんはレシーバーですが、僕のブロックが全然決まらない時は、白鳥さんにブロッカーになってもらう時もあるんですよ。でもそういう時にすごく止めてくれるんですよね(笑)。「できるなら教えてよ!」と思うんですが、白鳥さん独自の感覚や経験、やり方があるんですよ。僕がブロックをしている時は相手もひょうひょうとしているんですが、白鳥選手に替わったら相手の顔色が変わるなんてこともあります。ペアを組んで一緒にプレーをしながら常に学ばせてもらっています。
北京五輪を教訓に東京五輪では「勝つこと」にこだわる
出場することが目標だった北京では全敗の憂き目に。石島(中央)はその教訓を胸に東京では勝利にこだわる 【写真:アフロスポーツ】
その時は、五輪に出ることに満足していた自分がいました。五輪出場という目標を達成したことで、その先を明確にイメージできなかったんです。「本番で勝つこと」にまで意識を傾けられなかった面はありましたね。だからこそ次は五輪に出て勝つことを意識しています。出場のその先を目標にしていかない限りは、結果を出すのが難しい舞台なんだと痛感しましたね。
「次にまた出場できれば」と当時は思いましたが、その後、再び五輪に出場することはできませんでした。バレーボール人生において「見返してやりたい」という悶々とする感情があるので、次こそは絶対に東京五輪に「出場して、勝ちたい」という思いしかないですね。08年の経験がなかったら、東京五輪をここまで意識しなかったかもしれません。
五輪出場権は与えられるものではなく、自分たちで勝ち取るものです。悔しい経験をしたからこそ、より燃えたぎってくる思いがあります。ビーチバレーボールは、5月23、24日に日本国内の代表枠が決まるので、まずはそこで勝つことを目指して頑張ります。ただ、あくまでも予選は五輪で活躍するための過程です。五輪本番の8月に照準を合わせて調子を上げていきたいと思います。