連載:ドラフトで夢を叶えた選手たち

中日3位・岡野の七転び八起きの人生 いかに指名漏れの悔しさを乗り越えたか

瀬川ふみ子
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昨年の指名漏れから、今年さらに実力を上げて中日3位指名を勝ち取った岡野祐一郎。心の支えとなった人々への感謝の想いを胸に、プロの世界へ羽ばたく 【撮影:スリーライト】

 中日ドラゴンズから3位指名を受けた東芝の岡野祐一郎。抜群の制球力と安定感があり、即戦力として大きな期待がかかる。しかし、昨年の今ごろは、悔しさの底にいた。社会人屈指の投手としてドラフト候補に挙がりながら、指名は無かったのだ。再びモチベーションを上げて戦うことが難しいと言われるが、岡野は違った。社会人3年目にしてキャリアハイの記録をマーク。ドラフトまで8戦8勝の好成績、球速のMax・アベレージも上げてきたのだ。昨年の“あの瞬間”から、今年指名された瞬間まで、どんな思いでこの1年を過ごしてきたのかを聞いた。

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悲しみを忘れさせてくれた会社の仲間たち

さらなる磨きをかけた速球は、アベレージで2〜3キロ上がったという 【写真は共同】

――まずは昨年のことからお聞きします。社会人屈指の強豪・東芝のエース、社会人日本代表のエース、またアマチュア屈指の即戦力投手。そう言われてドラフト候補に挙がっていた昨年、どんな思いでドラフトを迎えましたか?

 東芝に入ってエースになれたらプロも近づくだろうと思って頑張ってきた中、負けたら終わりの都市対抗を決める大事な試合でも、都市対抗でも投げさせてもらいました。社会人日本代表でも主戦として投げさせてもらったので、「指名されるんじゃないかな」と思っていました。スカウトの方も、結構見に来ていただいていましたし、調査書も9球団。野球関係者の方からは「上位から中盤ぐらいでかかるんじゃない?」と言われ、各メディアにも“即戦力投手”と書いてあったので、「3位くらいまでにはかかるかな」「どこの球団になるかな」と、期待と希望とワクワクな気持ちではいました。

――でも、指名が無かった……。

 はい。寮の食堂で会見場を作って、寮生だけではなく、妻帯者の方も来てくださって、みんなでドラフトを見ていたんですが、2位、3位……と進んでも呼ばれない。4位が終わったときには、不安でいっぱいでした。先輩方が明るく「もう来年も一緒にやるってことでいいんじゃない?」と笑って気を紛らわせてくれたんですが、自分は不安で……。結局、名前が呼ばれることはなく、全球団が“選択終了”。最後まで待ってくださったチームのみなさんに「すいませんでした」と頭を下げたら、青山学院大からの先輩でもある木野学さんや福本翼さんが「来年、いい順位で取ってもらえばいいじゃん!」「来年も都市対抗、頑張ろうぜ」と言ってくれました。ただ、みんな最後まで見てくださったのに指名が無く、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。と同時に「なんでかからなかったんだろう」「これからどうしよう」と、複雑な気持ちで会見場を片付けていました。

――その後は……
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