B1中地区は4強時代の到来か!? 新シーズンに向けたキーマンたち
B1最強スコアラーたちがそろった三河
三河は日本屈指のシューター川村(写真)や、昨季得点王のガードナーが加わる 【(C)B.LEAGUE】
昨季は比江島慎、橋本竜馬がチームを去った。帰化選手の桜木ジェイアールはまもなく43歳で、最盛期に比べればどうしても落ちる。過渡期の難しさがあったに違いない。
しかし終盤戦で三河は大卒新人の熊谷航を正PGに起用し、拓殖大を中退してプロ入りした岡田侑大も長いプレータイムを与えた。二人の適応と成長は目覚しく、結果が出ずとも希望の見えたシーズンだった。
岡田は卓抜なハンドラーで、スクリーンを生かしてズレを使うのがうまい。3Pシュートの名手で、昨季は1試合平均10.3得点を記録。2018-19シーズンの新人王にも輝いた。21歳の年齢を考えても、将来の日本代表を背負うべき逸材だ。
金丸晃輔は昨季、日本人選手では最多の1試合平均17.9得点を記録。日本最高レベルのシューターだ。他の選手にとってはタフショットでも、金丸は「普通のシュート」にしてしまう。加えて今季は川村卓也も加入し、日本人シューターがそろった。
トドメは新潟からのガードナー加入だ。203センチ・132キロの重量級ながらスムーズなステップ、柔らかいシュートタッチを持つ彼は、三河のラストピースとなるだろう。機動力の高い選手の不足は感じるが、「決める」ことに限ればB1最高の陣容をそろえている。
三遠と横浜はチームの底上げが鍵に
在籍3年目を迎える田渡(21番)は、名実ともに横浜の柱を担うことになるだろう 【(C)B.LEAGUE】
一方で35歳のビッグセンター太田敦也は健在。センターを任せられる日本人プレーヤーがいることで、外国籍のウイングプレーヤーを起用できるのは三遠の強みと言っていい。新加入のデビン・イーバンクスは初来日だが、元NBAプレイヤーで、昨季はフランスリーグの得点王に輝いている大物だ。
横浜ビー・コルセアーズは14勝46敗の中地区最下位で昨季のレギュラーシーズンを終えた。レバンガ北海道との残留プレーオフにも敗れている。ライジングゼファー福岡へのB1ライセンスが不交付となり、B2からの昇格も1チームにとどまったため、このカテゴリーに残った。
70歳を迎えた名伯楽トーマス・ウィスマンHCは留任を果たしたが、彼の手腕を持ってしてもチームの底上げに苦労している感は否めない。
今季は前述のように長くチームを支えた川村が三河へ移り、細谷将司も秋田ノーザンハピネッツへ移籍した。特別指定選手としてプレーしていた有望株・中村太地は京都ハンナリーズに進んだ。
一方で抜群の守備力とシュート力を持つアキ・チェンバースや、日本人の若手PGでは屈指の実力を持つ生原秀将が加入。大きなプラスは感じないが、現有戦力の底上げが鍵になるだろう。
田渡凌はNCAA2部の主力として活躍して凱旋帰国し、Bリーグでは3季目のシーズンとなる。昨季は1試合平均9.7得点、4アシストと数字も伸ばし、今季は名実ともにチームの柱を担うことになるだろう。スキルはもちろん気の強さ、リーダーシップも「PGらしさ」を感じる26歳で、代表入りも目指してほしい人材だ。
東地区の華やかさに目を奪われがちだが、中地区も見どころは多い。昨季は新潟、富山が躍進を果たし、今季は川崎と三河も巻き返してくるだろう。一方でB1とB2上位の格差が消えつつある中で、三遠や横浜がサバイバルするためには「プラスアルファ」が必要になる。優勝や代表という夢とはまた色合いの違う、勝負のシビアな現実もある。