有森裕子が低迷する女子マラソンに提言 世界に追いつくため、必要なこととは

折山淑美
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女子マラソン不振の要因を、バルセロナ五輪銀、アトランタ五輪銅の有森裕子氏に聞いた 【写真:青木紘二/アフロスポーツ】

 かつては2000年シドニー五輪と04年アテネ五輪で、高橋尚子と野口みずきが金メダルを獲得。記録的にも01年ベルリンマラソンで高橋が女子初の2時間20分突破となる2時間19分46秒の世界記録をマークし、その後も04年に渋井陽子が、05年には野口が相次いで日本記録を更新して2時間19分12秒にまで記録を伸ばした日本女子マラソン。現役選手では17年に安藤友香(ワコール)が日本歴代4位の2時間21分36秒を出したほか、16年の福士加代子(ワコール)の2時間22分17秒が8位、18年松田瑞生(ダイハツ)の2時間22分23秒が9位にランキングされているが、世界大会では全く結果を残せない状況になっている。

 その要因を、1992年バルセロナ五輪銀、96年アトランタ五輪銅の2大会連続でメダルを獲得した有森裕子氏に分析してもらった。(取材日:9月10日)

進化に必要な“流れ”とは?

 ポーラ・ラドクリフ(イギリス)が03年に出した2時間15分25秒の世界記録は別格としても、17年以降はメアリー・ケイタニー(ケニア)の2時間17分01秒を筆頭に17分、18分、19分台の選手も出てきていますが、実際は12、3人とそんなに多くはないんです。ただタイムが遅くなっている国というのはそうはないのが現実。今回の(15日に行われた)マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)参加資格記録も、トップ選手が集まる大阪国際女子マラソンと名古屋ウィメンズマラソンでさえ、3位までなら2時間28分00秒。私が当時の日本最高記録の2時間28分01秒を出したのが91年だったことを考えれば、30年近く前の記録だけにかなり悲しく思います。
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著者プロフィール

1953年1月26日長野県生まれ。神奈川大学工学部卒業後、『週刊プレイボーイ』『月刊プレイボーイ』『Number』『Sportiva』ほかで活躍中の「アマチュアスポーツ」専門ライター。著書『誰よりも遠くへ―原田雅彦と男達の熱き闘い―』(集英社)『高橋尚子 金メダルへの絆』(構成/日本文芸社)『船木和喜をK点まで運んだ3つの風』(学習研究社)『眠らないウサギ―井上康生の柔道一直線!』(創美社)『末続慎吾×高野進--栄光への助走 日本人でも世界と戦える! 』(集英社)『泳げ!北島ッ 金メダルまでの軌跡』(太田出版)ほか多数。

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