50代でもマラソン自己ベストを出すために vol.3 〜自分のために必要な練習とは?〜
【写真:新澤英典】
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定点観測としてのタイムトライアル
最近スピードが落ちた実感があると、タイムという客観的数値から目を背けたくなりますが、現在の力を知ることが、再び自己ベスト更新を目指すためのスタート地点になります。
もちろん5kmや10kmのタイムで、フルマラソンのタイムが決まるわけではありませんが、過去の自分との比較であれば5kmのタイムが落ちているなら、大半の方はフルマラソンのタイムも落ちているでしょう。またそのタイムが落ちているのに、以前と同じ負荷でインターバルやペース走をしても、最後までやりきれないと思います。
まずタイム計測をして現実を知り、その上でその走力に応じた負荷で練習していく。出来れば毎月タイムトライアルをして推移を確かめてください。
序盤突っ込んだから後半脚が終わった。はホント?
トレーニング風景1 【写真:新澤英典】
次のレースを自己ベストへの第一歩にして欲しいのです。
やって欲しいことは現在の力を出し切る走りです。自己ベストがサブ3.5だったとしても、今出せる最高のタイムを出せる走りをしてください。例えば直近の5kmタイムの平均ペースを1.1倍した程度で前半走り、後半は多少落ちたとしても1.15倍程度で走ってみてください。
5kmタイムトライアルの結果が23分30 秒だったなら平均ペースは4’42/kmで、この1.1倍は5’10/kmペースになります。サブ3.5を狙ってスタートするとだいたい4’50/km前後になるでしょうから、そのペースより楽なペースになります。
5’10/kmペースで最後まで走り続ければ3時間38分ですが、後半5’24/kmペースに落ちたとしても3時間43分です。自己ベストには届きませんが、最近サブ4も厳しかったのなら素晴らしい走りだと思います。
このように大きく失速しないで最後まで走りきることが出来れば、心肺能力が弱いのか?脚が終わってしまうのか?フォームが保てなくなるのか?など自己ベストを出すために現時点で足りない能力が明確になります。
今まで頑なに自己ベストを狙って走り、毎回同じように後半失速すると分からないことが、このように走れば明確になります。
例えば、「序盤突っ込んだから後半脚が終わった。」「速いペースだったから脚への負担が大きく脚が攣った。」と話す方は、序盤抑えていたなら後半脚がもったのでしょうか?結局、後半大きく失速してしまうと何が課題なのか分からなくなってしまいます。上手に走れば課題が明確になり、目標に対して足りない力も明確になります。そしてその足りない力を高めていくのがあなたにとって必要な練習なのです。
その練習は何のため?
トレーニング風景2 【写真:新澤英典】
ランナーはそれぞれ、身体の強さや骨格・筋力、疲労回復のスピード、性格、集中力など違いますから、どのような練習をするかは変わってきます。
例えば大会1週間前まで負荷の高い練習をしても疲労が抜けるランナーもいれば、抜けないランナーもいます。疲労回復は年齢以外の要素もありますが、一般に50代に近づけば疲労は抜けにくくなります。50代のランナーが20代のランナーと同じような練習をしたら多分疲労を抱えたままスタートラインに並ぶことになります。
また、レース3週間前までに30km走、40km走をした方がよいとか、インターバル走は必要、サブ3ランナーになるには月間300km走らねばならない。と書かれた雑誌やウェブの記事を読んでそのまま鵜呑みにしないでください。
もちろん、30km走もインターバル走もした方が良いと思いますが、何のためにするのか?どのような効果があるのか?どのような点に注意する必要があるのか?などの視点がないまますると効果がないばかりか、マイナスに働くこともあります。
また、月間300km走らねばならない。というのも、一般的にこのレベルのタイムを狙うなら、このような練習をしていく必要があり、その練習を積み上げると300kmくらいになる。という数値であって、300km走らないサブ3ランナーは少なくありません。
月間走行距離を目標にする方は少なくありませんが、何のために走るのか?の観点を見失い、『月間走行距離の目標を達成するために走る』状態に陥る方もいます。月間走行距離を増やすために、ゆっくり長く走る練習で距離を稼ぎ、リカバリーがおろそかになれば目標達成は遠くなっていきます。
何のためにこの練習を行うのか?
そもそも自分に足りないモノは?
目標に向けて高めたい能力は?
今の体調はどうだろう?
と、自問自答して練習内容を決めていくことはレベルや年齢関わらず大事なことです。
新澤英典(しんざわひでのり)
ウルトラプロジェクト代表
ランニングポータルサイト ウルトラランナーへの道管理者
健康運動指導士
JSPO公認スポーツプログラマー
JAAF日本陸連公認ジュニアコーチ
損害保険会社25年勤務後早期退職し、その後ランニングクラブ ウルトラプロジェクト(通称 ウルプロ 現在の会員数200人以上)を立ち上げ、自己ベスト更新を目指す市民ランナーの指導をしている。また、ランニングポータルサイト ウルトラランナーへの道を通じて、ランナーへの情報発信を続ける他、複数のスポーツ関連企業でアドバイザーを務めている。
52歳で、5000m、10km、ハーフマラソン、フルマラソンで自己ベスト更新
100kmウルトラマラソン完走25回中 8時間台(サブ9)8回
24時間走214.472km(2017年)
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