データで振り返るディープインパクト 数字にも表れる特徴的な強さの軌跡

JRA-VANデータラボ
 7月30日に惜しくも天国へと旅立ったディープインパクト。日本競馬史上2頭目となる無敗での三冠制覇やラストランで勝利した有馬記念など記録にも記憶にも残る名馬だった。今回はディープインパクトの成績から特徴的なデータをピックアップし、あらためて彼の活躍を振り返ってみたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

ディープインパクトの三冠レースでの勝ちタイムならびに上がり3ハロン

表1 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 まずはディープインパクトの末脚の速さについて。表1は3歳クラシック三冠におけるディープインパクト自身の上がり3ハロン(いずれもメンバー中最速)および上がり3ハロン2位の馬を示したもの。一戦目の皐月賞はスタートでヨレて、序盤は最後方からの追走となった。しかし、3コーナー過ぎからマクるように馬群の外を進出し、2着シックスセンスに2馬身半差をつける快勝。上がりではシックスセンスを0秒2しか上回れなかったが、完勝といえる内容だった。

 圧巻は日本ダービーと菊花賞。日本ダービーの上がりは2位に1秒差、菊花賞では0秒9差とどちらも大差をつけている。上がり3ハロンだけでも同世代の馬たちを凌駕していたことがわかる。ただし、ディープインパクトは上がり600mだけでなく、その前から脚を使っており、レース後半に速い脚を持続できたところに最大の特長があった。なお、ディープインパクトは国内の13戦すべてで上がり最速をマークしていた。

ディープインパクトとシンボリルドルフの三冠での単勝オッズ

表2 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 続いてはディープインパクトの人気について。表2では三冠での単勝オッズを、史上初めて無敗のまま三冠馬となったシンボリルドルフと比べてみた。これによってどちらが強いかを比較できるわけではないが、ディープインパクトがシンボリルドルフ以上に単勝での支持を集めていたことがわかる。三冠ラストの菊花賞では、ついに単勝1.0倍。G1級レースにおける単勝元返しは、1984年のグレード制導入以後ではこの1回だけである。なおディープインパクトの単勝オッズは、最も高いレースでも1.3倍(皐月賞、05年有馬記念、ジャパンカップ)だった。

 シンボリルドルフは国内15戦中、弥生賞が2番人気(1番人気ビゼンニシキ)、84年ジャパンカップが4番人気(1番人気ミスターシービー)で、他はすべて1番人気に支持されていた。いっぽうディープインパクトは国内13戦すべてで1番人気に支持された。これはナリタブライアンやオルフェーヴルといった他の三冠馬も記録していない偉業だ。

 シンボリルドルフとディープインパクトは無敗での三冠達成以外にも共通点があり、まずはすべてのレースで同じ騎手が乗り続けていたことが挙げられる。シンボリルドルフには岡部幸雄騎手、ディープインパクトには武豊騎手という無二のパートナーがいた。また、三冠達成直後に古馬との初対戦となるG1で敗れている点(シンボリルドルフはジャパンカップ3着、ディープインパクトは有馬記念2着)も同じ。国内最後のレースとなる有馬記念を完勝している点も共通している。

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