データで振り返るディープインパクト 数字にも表れる特徴的な強さの軌跡

JRA-VANデータラボ

ディープインパクトの3歳時と4歳時の比較

表3 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 そしてディープインパクトの強さについて。表3では3歳時と4歳時における東京芝2400mG1ならびに有馬記念のタイムを比較してみた。日本ダービーとジャパンカップの時計比較では、同じ良馬場(馬場コンディションの微妙な違いはあるにせよ)で勝ちタイム・上がりともにダービーの方が速い。ジャパンカップ時は凱旋門賞以来のレースで、馬体重はデビュー以来最低の436キロ。帰国初戦ということもあり、状態も万全ではなかったのではないか。それでも2着ドリームパスポートに2馬身差をつける快勝を見せた。

 有馬記念の時計比較では、3歳時は先に抜け出したハーツクライに半馬身届かず2着に敗れたが、ラストランとなった06年有馬記念では前年のタイムを0秒1更新して3馬身差の圧勝を演じている。上がりでも3歳時は上がり34秒6とこの馬にしては平凡で、三冠達成の疲労は少なからず残っていたのだろう。対して4歳時はジャパンカップから状態が上向いていたと見え、上がりでも前年を0秒8も上回っている。

「飛ぶように走る」と評された末脚の持続性、単勝オッズに見られる圧倒的な人気の高さ、過去の自分を超える精神力の強さ。このすべてを併せ持ったのがディープインパクトだった。

ディープインパクト産駒の東京芝2400mG1における勝利馬一覧

表4 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 最後に表4はディープインパクト産駒の東京芝2400mG1における勝利馬一覧。12年オークスを制したジェンティルドンナをはじめ10頭の優勝馬を輩出している。ダービー馬は5頭出ているが、そのうちディープブリランテ、ワグネリアン、ロジャーバローズの3頭は、父とは違って先行して勝利をおさめている。今年のダービーでロジャーバローズが2番手からレースを進めて押し切ったのは記憶に新しいところだ。長く速い脚を使えるというディープインパクトの特長を受け継ぎつつ、脚質も多様化している。

 また、今年は大阪杯(アルアイン)、桜花賞(グランアレグリア)、天皇賞・春(フィエールマン)、オークス(ラヴズオンリーユー)、日本ダービー(ロジャーバローズ)と産駒がG1を5勝。なかでも天皇賞・春はこれまでなかなか勝てずにいたが、フィエールマンが勝利し、グローリーヴェイズが2着とワンツーフィニッシュを決めた。さまざまなタイプの産駒が出てきていた時期だっただけに急逝は非常に残念だが、キズナ産駒のビアンフェが先日の函館2歳Sを制するなど、今後は孫世代の活躍も見込まれる。

 また、今年の凱旋門賞にはフィエールマンが登録している。父の果たせなかった凱旋門賞制覇を産駒が達成できるのか、注目だ。平成から令和に時代は変わっても、ディープインパクトの伝説はこれからも続いていく。

文:ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。

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