データで振り返るディープインパクト 数字にも表れる特徴的な強さの軌跡
ディープインパクトの3歳時と4歳時の比較
表3 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
有馬記念の時計比較では、3歳時は先に抜け出したハーツクライに半馬身届かず2着に敗れたが、ラストランとなった06年有馬記念では前年のタイムを0秒1更新して3馬身差の圧勝を演じている。上がりでも3歳時は上がり34秒6とこの馬にしては平凡で、三冠達成の疲労は少なからず残っていたのだろう。対して4歳時はジャパンカップから状態が上向いていたと見え、上がりでも前年を0秒8も上回っている。
「飛ぶように走る」と評された末脚の持続性、単勝オッズに見られる圧倒的な人気の高さ、過去の自分を超える精神力の強さ。このすべてを併せ持ったのがディープインパクトだった。
ディープインパクト産駒の東京芝2400mG1における勝利馬一覧
表4 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
また、今年は大阪杯(アルアイン)、桜花賞(グランアレグリア)、天皇賞・春(フィエールマン)、オークス(ラヴズオンリーユー)、日本ダービー(ロジャーバローズ)と産駒がG1を5勝。なかでも天皇賞・春はこれまでなかなか勝てずにいたが、フィエールマンが勝利し、グローリーヴェイズが2着とワンツーフィニッシュを決めた。さまざまなタイプの産駒が出てきていた時期だっただけに急逝は非常に残念だが、キズナ産駒のビアンフェが先日の函館2歳Sを制するなど、今後は孫世代の活躍も見込まれる。
また、今年の凱旋門賞にはフィエールマンが登録している。父の果たせなかった凱旋門賞制覇を産駒が達成できるのか、注目だ。平成から令和に時代は変わっても、ディープインパクトの伝説はこれからも続いていく。
文:ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。