ミッキーチャームはデータ上で不利? 飛躍目指す牝馬の戦い・クイーンS分析
前走クラス別成績(4歳以上のみ)
同年の古馬混合牝馬限定重賞における着順別成績
気をつけたいのが、芝1600mで行なわれるヴィクトリアマイルと阪神牝馬Sで、その両レースで3着以内に入っていた馬は、クイーンSでは1頭も好走していない。一例として17年のアドマイヤリードを挙げると、ヴィクトリアマイルは6番人気1着だったが、クイーンSでは逆に1番人気6着という結果に終わった。同馬に限らず、両レースの好走馬は人気を背負って敗退する傾向にあり、該当馬がいる場合は注意したい。
一方、相性がいいのは芝1800mの中山牝馬Sと福島牝馬Sで、いずれの好走馬もクイーンSの好走率が優秀。中山牝馬Sの1〜3着馬は複勝率50.0%に達し、福島牝馬Sの1〜3着馬は激走を繰り返して単勝回収率445%という要注意の存在だ。両レースともに「右回り」「コーナー4つ」「直線が短い」など距離以外にもクイーンSとの共通性があるので、納得の好相性といったところだ。
最後に芝2000mの2重賞に触れておくと、現行の1月開催となってからの愛知杯は着順を問わずに好走しており侮れない。もうひとつのマーメイドSは、そこでの着順との関連性があまりないようだ。
洋芝(札幌、函館の芝)の複勝率別成績
結論
古馬では、相性のいい中山牝馬Sや福島牝馬Sで今年好走した馬がいればというところだが、中山牝馬S1着のフロンテアクイーン、同2着のウラヌスチャーム、福島牝馬S3着のダノングレースがエントリーしてきた。このうち洋芝実績も持っているのはダノングレース(2走して複勝率100.0%)、フロンテアクイーン(1走して好走)だ。洋芝未出走のウラヌスチャームもダメというわけではなく、むしろ着順を問わず好成績の愛知杯に今年出走している点は見逃せない。
前走が重賞以外の馬では、前走3勝クラスかつ洋芝で5走して複勝率100.0%のカリビアンゴールドが面白そうだ。そのほか洋芝実績がある馬ではサトノガーネットを挙げておく。
最後に触れておかなければならないのがミッキーチャーム。昨年の秋華賞2着という実力馬で、洋芝では3戦すべて圧勝と馬場適性も極めて高いのだが、今年の春の戦績がどうにも気になるのである。というのも、クイーンSと相性がいい中山牝馬Sで14着に大敗したあと、直結しない阪神牝馬Sを制しているからだ。だからといって軽視もしづらい馬ではあるが、データ面で万全ではないことは指摘しておきたい。
文:出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。