広島は投打で突出、楽天は新主砲がけん引 プロ野球助っ人貢献度 2019中間報告

データスタジアム株式会社

助っ人の貢献度が高い広島。中でもバティスタは主に3番に座るなど、打線の中核を担っている 【写真は共同】

 交流戦を終えたこの時期は、シーズンの折り返しを迎えるタイミング。控えクラスの選手を起用した場合と比較して何勝分チームに貢献できたかを表すWAR(Wins Above Replacement)という指標を用いて、前半戦の各球団の外国人選手たちの貢献度を可視化したい。

 なお、外国人選手の定義はドラフトを経ずに入団した選手で、FA権を取得して外国人枠の制限から外れたメッセンジャー(阪神)なども含んでいる。

※データは2019年6月25日現在、チーム名の後ろの順位は同日現在のもの

セ・リーグ各チーム助っ人貢献度

【データ提供:データスタジアム株式会社】

 セ・リーグで最も外国人選手の貢献度が高かったのが広島(リーグ2位)。特にバティスタのWAR2.3はリーグの助っ人野手の中でも最も高い値だった。先発左腕・ジョンソンの貢献度も高く、WAR1.8は12球団の助っ人投手でトップ。レグナルト、フランスアのリリーフ左腕コンビも勝ちパターンを形成する活躍を果たしている。4選手がいずれも主力級の働きを見せているため外国人枠が埋まり、2軍で19本塁打を放っているメヒアを試す機会が少ないのはうれしい悩みとなっている。

 東京ヤクルト(6位)は投手陣の貢献でリーグ2位の外国人WARを記録。リリーフのマクガフ(WAR1.4)、ハフ(同1.3)はフル回転の活躍を見せていて、安定感を欠く投手陣の中で奮闘ぶりが光る。両投手ともチーム試合数の半数近い頻度で登板しているため、後半戦に向けて疲労の蓄積が気になるところ。ここまで4番として15本塁打を放つ働きを見せているバレンティンだが、存在感の大きさに比してWARは0.9と伸びを欠いた。これは守備面でのマイナスが影響していたためで、ここ数年のバレンティンのWARの傾向とも被っている。

 中日(5位)の助っ人陣は投打にバランスの良い貢献を見せている。昨季から大きな成長を見せた剛球右腕のR.マルティネス(WAR0.7)、剛球左腕のロドリゲス(同1.2)が必勝リレーを構築し、新加入のロメロ(同0.6)もローテーションの一角を守る。4年目を迎えた主砲・ビシエドも貢献度は高く、WAR2.1は助っ人野手としてトップクラス。2年目のアルモンテはシーズン序盤で不振に陥り、外国人枠の関係もあって挽回(ばんかい)のチャンスが少なかった。

阪神ブルペン陣に欠かせぬ存在になったジョンソン 【写真は共同】

 投手の助っ人WARが優秀な阪神(3位)の中でも、新加入のジョンソンの働き(WAR1.2)が光った。リーグ2位の19ホールドを挙げるフル回転ぶりでブルペンを支えたが、登板過多がたたり6月上旬に1軍登録を抹消。接戦で欠かせない戦力となっていただけに、早期の復帰を期待する声も大きい。長距離砲として期待されたマルテは調整が遅れ、開幕から約1カ月遅れて1軍に合流。ここまで6本塁打を放っているがWARは0.7と、もうひと息の活躍を期待したい。

 横浜DeNA(4位)では昨季本塁打王のソトがここまで22本と一発を量産しているが、二塁、右翼のポジションで不安定な守備を見せてWARは0.08止まり。決して好調とはいえないロペスのWAR0.12を下回る結果となっている。投手陣ではエスコバーが高い奪三振率(11.75)を武器に16ホールドを記録。チームの投打の助っ人選手の中でトップとなるWAR1.1の活躍を見せている。

 前半戦からさまざまな選手を起用しながら、外国人選手による貢献を得られなかったのがリーグ首位の巨人だった。新加入のビヤヌエバは低打率に沈み、WARも0.2と貢献度は低かった。入団2年目のゲレーロもバットでアピールできず、WARはマイナス0.1。守護神候補として迎えられたクックは走者を出してからのピッチングに課題を抱え、WAR0.1と期待に応えられていない。助っ人選手の誤算が続く中、光明といえる活躍を見せているのが先発左腕のメルセデス。WAR1.4はジョンソン(広島)に次いで、12球団助っ人投手中2位の数値となっている。

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