広島は投打で突出、楽天は新主砲がけん引 プロ野球助っ人貢献度 2019中間報告

データスタジアム株式会社

パ・リーグ各チーム助っ人貢献度

【データ提供:データスタジアム株式会社】

 パ・リーグでは東北楽天(リーグ2位)の助っ人選手の貢献度が高かった。新加入のブラッシュは12球団のすべての助っ人選手の中で最も高いWAR2.9をマーク。独特な打撃フォームから強烈な打球を放ち、ここまでリーグ3位の19本塁打をマーク。右翼の守備でも致命的なミスは少なく、起用において制限が少ないのも大きい。5年目のウィーラーもDHをブラッシュとシェアしながらWAR1.0と堅実な活躍で首位争いのチームを支えている。投手陣は新加入のブセニッツ(WAR0.5)、宋家豪(同0.4)、ハーマン(同0.4)の3人がいずれもリリーフとして貢献。5月のハーマン不調時に入れ替わるようにしてブセニッツを1軍に起用するなど、好不調や疲労の状況などを考慮しながら巧みな運用を行っている。

楽天の新主砲・ブラッシュ。首位争いに食い込むチームに大きく貢献している 【写真は共同】

 福岡ソフトバンク(1位)はデスパイネ、グラシアルのキューバ人コンビがバットで貢献。デスパイネは春先こそ振るわなかったものの、5月に11本塁打を放つなどWAR1.8の活躍。グラシアルは開幕直後にわき腹の故障で約1カ月離脱したが、復帰してからはコンスタントに本塁打を放ち、WAR1.1の数字を残している。投手陣ではモイネロがWAR1.3でトップの貢献。抜群の奪三振率(12.80)でチームトップの17ホールドを記録している。

 ここまで21本塁打を放っているレアードは、WAR1.8と千葉ロッテ(5位)の外国人選手の中で最も高い貢献度。新天地では打率2割台後半をキープするなど、北海道日本ハム時代よりも確実性が向上している。新助っ人・バルガスは打率1割台に沈み、日本球界へのアジャストに苦戦中。先発のボルシンガーはWAR0.0と、13勝を挙げた昨季から一転して苦しい内容。チェン・グァンユウは左のリリーフとしてここまで安定した成績(WAR0.7)を残し、ブランドン(同0.6)とともにブルペンを支える。

 日本ハム(4位)は2年目のロドリゲスが先発、中継ぎ、そして抑えとさまざまなシチュエーションで登板。WAR0.7とずば抜けた活躍とは言い難いが、故障者の多い台所事情の中でベンチの起用に応えている。先発として期待されたバーベイト、救援で期待されたハンコックの2名はマウンドで結果を残せず。さらにハンコックは右肩を痛めた影響で、実戦から離れている。野手唯一の助っ人である王柏融は、主に左翼のレギュラーとして3割前後の打率をキープ。台湾時代のように長打力を発揮できるようになれば、WAR0.8から数字を伸ばすことも可能だ。

日本ハムは王の活躍次第でさらに順位を上げることが可能だ 【写真は共同】

 オリックス(6位)は左の先発として期待された2年目のアルバースが不安定な投球で苦しみ、さらにヘルニアを発症して5月に1軍登録を抹消。WAR0.0と前半戦はチームに貢献できなかった。ディクソンは右肩の故障で出遅れたが、6月に1軍に昇格すると増井浩俊に代わるストッパーとして活躍。来日7年目にして初セーブを記録し、短い期間ながらWAR0.3と貢献した。4番のロメロは実働約1カ月半でWAR0.5を記録したが、故障による離脱が多く後半戦も稼働状況に不安を抱えている。新助っ人のメネセス、3年目のマレーロの2人も2軍生活が長く、ともにWAR0.0に留まっている(編注:メネセスはドーピング違反のため、6月27日に契約を解除された)。

 埼玉西武(3位)先発陣の新戦力として迎えられたニールだったが、安定感を欠く内容でWAR0.4と数字を伸ばせなかった。チームは慢性的な先発不足に陥っているだけに、後半戦の巻き返しが待たれる。中継ぎのマーティン(WAR0.4)、ヒース(同0.5)の2人はブルペンを支える貴重な助っ人コンビ。ただ両者ともコントロールを乱す場面が散見され、昨季ほどの安定感がないのは懸念材料となっている。かつての本塁打王・メヒアは数年来の不振から脱せず、WARマイナス0.2と寂しい前半戦に終わった。


(文:データスタジアム株式会社 野球アナリスト 佐々木 浩哉)

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日本で唯一のスポーツデータ専門会社。 野球、サッカー、ラグビー等の試合データ分析・配信、ソフト開発などを手掛ける。

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