「来シーズンは勝負の年」と語る大迫勇也 チームでも代表でも、「得点」にこだわる

元川悦子

強いチームと戦わなければ、経験値も上がらない

本音を言えば「強いチームと戦いたい」と大迫。「トップチームとの試合でどうなるかを知りたい」と口にした 【赤坂直人/スポーツナビ】

――森保ジャパン発足から1年が経過しました。大迫選手の目には、チームの現状はどう映っていますか?

 確実に現時点ではロシア(W杯)の時のチームの方が強いと言うのは断言できます。ただ、3年後にはあのレベル以上にならないとダメだと思う。今の代表は良い意味でも悪い意味でも「勢い」があります。

 でも本当のトップチームとやった時にどうなるかというのを知りたい。キリンチャレンジカップでは、なかなか難しいのも分かってはいますが、強いチームとやりたいというのが本音です。そうしていかないと、自分たちのレベルや強さ、経験値も上がらないと思いますね。

――ロシアで16強入りできたのも、世界基準を知る選手が数多くいて、チームとしての経験値が高かったというのが大きかったですからね。

 ロシアの時のチームは全選手がいろいろな経験をして、成長して、大会に挑めたのもありますし、みんなが賢くプレーできたことで結果がついてきたと感じます。それに選手同士の距離感もすごく良かった。

 大会までの準備期間が1カ月半くらいありましたが、そこでかなり話し合いましたからね。選手だけで映像を見ながら「ここはこうした方がいい」という意見を言い合った。そういうことは、やっぱり大事だなと思いましたね。W杯は独特の緊張感があるし、楽しいだけじゃないですから。そこは若い選手に伝えていきたいですね。

若い選手にとっては「失敗」することが大事

――6月のエルサルバドル戦で代表デビューした18歳の久保建英選手を筆頭に、代表は一気に若返っている印象です。

 久保君に関しては、18歳で代表にいるということ自体が、まず普通の選手じゃない。それは誰もが分かっていることだと思います。注目されるのも分かるけれど、これからがすごく大事だと思います。

 メディアも年齢に関係なく、結果を出した人をもっと取り上げるべきだと思います。1人の選手に注目して人気を得るようなやり方では、本当のサッカーの良さが伝わらないと感じている部分もあります。

 彼を含めて若い選手たちは、強い相手に全力でチャレンジして失敗することが大事だと思います。僕自身もたくさん失敗して、その度に反骨心を持って前に進んできたから成長できた。そういう失敗は絶対次につながる。それが、強くなるための一番の近道ですよね。

――大迫選手自身もさらなる飛躍を期していると思いますが、FWとしての理想像は?

 個人としては得点を取ること。そこにフォーカスし続けたいです。得点以外のプレーはW杯でもすごく自信になったし、もっともっと成長できるという手ごたえもつかめた。それを実現するためにも、ゴール前にこだわることが大事。肝心なところで点を取れる存在になりたいと思っています。

――ドイツでは当時フランクフルトに在籍していた高原直泰選手と、岡崎慎司選手が達成した2ケタ得点というのが1つのテーマになると思います。

 来シーズンはその大きなチャンスですし、勝負の年だと思います。僕はケルン時代の16-17シーズンに取った7点が最高。それではやっぱり数字的に少ないと思うので、先輩たちを超えられるように頑張ります。

――日本代表もカタールW杯に向けた戦いがスタートします。

 代表にしても、前の人間が点を取らないと強いチームにならないと思うので、若い選手を引っ張っていける存在であり続けたいです。この前ロシアW杯が終わったばっかりですけれど、またすぐに予選が始まる。ワクワクしますね。

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著者プロフィール

1967年長野県松本市生まれ。千葉大学法経学部卒業後、業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーに。Jリーグ、日本代表、育成年代、海外まで幅広くフォロー。特に日本代表は非公開練習でもせっせと通って選手のコメントを取り、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは94年アメリカ大会から5回連続で現地へ赴いた。著書に「U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日」(小学館刊)、「蹴音」(主婦の友社)、「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年」(スキージャーナル)、「『いじらない』育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(日本放送出版協会)、「僕らがサッカーボーイズだった頃』(カンゼン刊)、「全国制覇12回より大切な清商サッカー部の教え」(ぱる出版)、「日本初の韓国代表フィジカルコーチ 池田誠剛の生きざま 日本人として韓国代表で戦う理由 」(カンゼン)など。「勝利の街に響け凱歌―松本山雅という奇跡のクラブ 」を15年4月に汐文社から上梓した

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