新馬戦の馬体重別成績の傾向を分析 「夏の2歳馬は小型馬有利」は本当か?

JRA-VANデータラボ

2歳6〜8月の新馬戦・芝、馬体重別成績

表4 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 今度は芝の新馬戦について、表4は2歳6〜8月の馬体重別成績である。この表4で、明らかに好走確率が低いと言えるのは、400キロを切る馬のみ。420キロ以上440キロ未満で3着内率23.9%と、中〜大型馬と遜色ない数字になる。全体的には、平均(454.1キロ)より重いほうが好走確率は高いものの、表1のダート戦(3着内率で7.8ポイント差)に比べればその差はわずかだ。

2歳9〜12月の新馬戦・芝、馬体重別成績

表5 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

3歳新馬戦・芝、馬体重別成績

表6 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 9〜12月に行われた芝の2歳新馬戦(表5)でも、明らかに苦しいのは400キロ未満のみ。ただ、こちらは460キロを切るとやや劣勢で、連対率が15%を超えてくるのは460キロ以上だ。出走馬の平均馬体重は460.03キロ。平均未満と平均以上では、3着内率で6.1ポイントの差がついている。芝の3歳新馬戦(表6)でも同じような傾向にあり、やはり460キロあたりが境になる。平均馬体重は462.2キロで、平均未満と平均以上は3着内率で6.3ポイント差だ。

 以上、新馬戦の馬体重別成績を、2歳夏、2歳秋、3歳と分けて、芝・ダート別に調べてみた。ダート戦では小型馬苦戦の傾向だが、それでも2歳夏の段階であれば、秋以降に比べればまだ勝負になる可能性がある。一方、芝のレースでは、420キロ台から450キロ台あたりの馬でも、夏競馬のうちは中〜大型馬と互角に渡り合えそうなデータが出ていた。

 また、ここまでは好走確率に注目してデータを見てきたが、単複の回収率に注目すると、少し違った面も見えてくる。表1(2歳夏・ダート)では馬体重「平均未満」の単勝回収率が103%。そして表4(2歳夏・芝)では「平均未満」の単複の回収率は80%台で、100%こそ超えていないものの、「平均以上」の56%、62%を大きく上回る。特に400キロ未満の馬は、全7勝中3勝を2桁人気馬が挙げ、単勝回収率210%、複勝回収率102%を記録している。好走確率こそ低くても、「馬券作戦」としては「夏の2歳新馬戦は小型馬に注目」しても良さそうな結果だ。

文:浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

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