“ポスト・ボルト”最有力はアニメ好き!? 東京五輪では「9秒41をきっと実現」

永塚和志

ボルト二世? 僕はあくまで「ノア・ライルズ」

ダイヤモンドリーグ第2戦では今季世界最高タイムをマークした 【写真:ロイター/アフロ】

――おそらく何百回と言われていることなのでしょうが、「ネクスト・ウサイン・ボルト」と呼ばれることについてはどう思いますか? あまりうれしいものではないですか?

 言われることに悪い気はしないよ。ただ、みんな本気でそう言っているのかなとは思う。だって、「ウサイン・ボルト二世」だなんて言われるのは僕で6人目くらいじゃないの?(笑) そんなにいるっていうことは、呼ぶ側はどこまで本気でそう言っているのかなと思う。僕としてはあくまで「ノア・ライルズ」でいたい。自分が出せる精いっぱいのパフォーマンスを出したいだけなんだ。

――では、これまでの陸上キャリアで手本にしてきた選手はいますか?

 自分の手本はあくまで自分自身。他人の走りはあくまでその人のもの。例えばスタートひとつ取ってみても、誰かのスタートが良いものだとしても、それが自分にも合うものになるとは思えない。自分のスタート映像などを見て、良いスタートだったなと思えれば、それは自分の中で生かしていけるとは思うけどね。だから他の選手と自分を比べたり、手本にしたりというのは今までやってきたことがないんだ。

――シューズについて、こだわりを教えてください。

 僕の足ってちょっと変わっていて……普通、フラットだと足幅はワイドであることが多いんだけど、僕の場合はフラットで幅が狭いんだ。僕は陸上を始めてからほとんどアディダスを履いているんだけど、とても気に入っているよ。

――陸上以外のスポーツは何かやってきましたか?

 たくさんしてきたよ。最初にバスケットボールをやって、後は野球、水泳、サッカー、体操なんかをやっていたよ。

――その中で一番好きだったのは?

 バスケットボールと体操。ただ体操はお金がかかるし、やっていた当時はあまりお金がなかったので続けられなかった。バスケットボールは大好きだったけど、陸上の実力が上がってきたし、努力した分がそのまま自分に返ってくるから陸上を取ったんだ。

パフォーマンスを通し「陸上をもっと見てもらいたい」

――ライルズ選手がアニメファンだというのはよく知られています。『ドラゴンボール』に出てくる技「かめはめ波」など、レースの時でもさまざまなパフォーマンスをしていますが、何かきっかけはあったのですか?

 去年のダイヤモンドリーグのドーハ大会が5月4日、「スター・ウォーズの日」(5月4日=「May the 4th」が映画『スター・ウォーズ』でよく使われる「May the force be with you」というフレーズの発音に似ているため)で、僕は本当は記者会見に『スター・ウォーズ』のコスチュームを着て出たかったんだけど、それは却下されてしまった。ただ、去年は面白いだろうなと思ったことはやってみようと、シーズンを通して考えていたね。そうすることでファンをはじめ、人々とよりつながりが持てると思ったからさ。

――アニメーションを見たり、パフォーマンスをしたり、ラップを歌ったりと陸上以外でも積極的に自分をアピールしていますね。

 スプリンターの自分がどうしたら人と人とをつなぐことができるかを常に考えています。それに僕がどんなことに興味があるのか、どんなことをしているのかを知ってもらいたい。お客さんたちは競技場に来て、陸上がそんなに面白くないと思ってしまうかもしれない。そんな中で、僕が何か特別なことをすれば「またこの選手、見てみたいな」と思ってくれるかもしれない。そうやってみんなにはエキサイトしてもらいたいし、陸上をもっと見てもらいたいと思っているよ。

――一番好きなアニメは何ですか?

 すごく難しい質問だなあ。好きな作品が多すぎてね。トップ5に入るのは……『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』、『ドラゴンボールZ』も入っているかな。『東京喰種トーキョーグール』、『HUNTER×HUNTER』、最近は『幽☆遊☆白書』も見始めたんだ。すごく良いよね。僕の好きなアニメはそんなところかな。

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著者プロフィール

茨城県生まれ、北海道育ち。英字紙「ジャパンタイムズ」元記者で、プロ野球やバスケットボール等を担当。現在はフリーランスライターとして活動。日本シリーズやWBC、バスケットボール世界選手権、NFL・スーパーボウルなどの取材経験がある

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