“ポスト・ボルト”最有力はアニメ好き!?
東京五輪では「9秒41をきっと実現」

 ウサイン・ボルト(ジャマイカ)が引退してから2年弱。「ポスト・ボルト」を挙げた時、真っ先に名前が出るのは米国のノア・ライルズだろう。11、12日に横浜市で開催された世界リレー大会(以下、世界リレー)では、米国代表のアンカーとしてチームを4位から2位に押し上げ、18日のダイヤモンドリーグ第2戦(中国・上海)では、男子100メートルで今季世界最高の9秒86をマーク。ボルトの後を継ぐスター候補として、確実に実績を積んでいる。


 今回、世界リレーに合わせて来日したライルズにインタビューをすることができた。自身の走り、今後の目標について、好きなアニメのことなど、東京五輪の金メダル有力候補であり、21歳の青年でもあるライルズの素顔に迫った。(取材日:5月14日)

世界リレーでの自身の走りは「興奮しちゃった」

次世代のスター、ノア・ライルズの素顔に迫った
次世代のスター、ノア・ライルズの素顔に迫った【スポーツナビ】

――インタビューのお時間をいただきありがとうございます。来日は今回が初めてですか?


 そうなんだ。最高の気分だよ。日本はずっと来てみたかった国。「一番行ってみたい国はどこか」と言われれば、「日本だ」って答えていたほどにね。


――世界リレーでの自身の走りについてはどう振り返りますか?


 全体としてはすごく良かったんじゃないかな。ただ米国の代表としては金メダル以外で終わるということは良いことではない。勝つこと以外は求められないからね。優勝できなければ何も得なかったのと同じ。ただ、僕にとって米国代表としてリレーを走る初めての機会だったから、個人的には2位でも悪くはなかったと思っている。チームワークも良かったしね。これからもっとパフォーマンスを上げていけるかと言われれば、もちろん良くなると答えるけど、全体としてはまあ良しとすべきといったところかな。


――ライルズ選手自身もアンカーとして素晴らしい走りを披露しましたね。3走からバトンを受け取ったときは4位でしたが、驚異的な追い上げで2位にまで順位を上げました。


 あの走りで自分が不満を感じるはずはないよね(笑)。もちろん1位を目指しているわけだし、もうちょっとで1位に追いつけた感じだったけど。自分としてはただただ全力を尽くして、なるべく早い段階でトップスピードに乗ることに集中していたんだ。もう自分の走りを100回くらいは見たような気がする。まあ自分で言うのもなんだけど、興奮しちゃった(笑)。


――日本の陸上についてはどう思いますか?


 世界リレーへ向けての合宿の時に僕たちが言っていたのは、「日本はアンダーハンドパスをやっていて、彼らがリレーで強い」ということ。だから僕たちの敵ではない、だなんて思ってはだめだと。「来年、日本で五輪があるけど、僕たちも向上していかないと勝てないぞ」とか、「日本がライバルの一つになるのは間違いない」というようなことも話したよ。

強みよりも「弱点をいかにして改善していくか」

ライルズは自身の強みとして「トップスピードを持続する能力」を挙げた
ライルズは自身の強みとして「トップスピードを持続する能力」を挙げた【写真:ロイター/アフロ】

――自身のスプリンターとしての強みはどこですか? またそれをどのようにして磨いているのですか?


 強みか……結構、難しいなあ。自分のことを自慢するようになってしまいそうで(苦笑)。


――そんなことはないですよ。


 あえて言えばトップスピードを持続する能力には秀でているんじゃないかと思う。あとは、新しいテクニックを吸収するスピードもあるかな。ただ、強みよりもやっぱり頭にあるのは弱点の方。弱点をいかにして改善していくかが大事だからね。


 陸上を始めた時から僕の弱点はスタートで、ここを強化しないといけないとは常に思ってきた。あとは勝負どころの最後の40メートルにつなげていくトランジションの部分。スタートから最後の40メートルにいかにつなげることができるか。ここを改善することで勝つ確率は高くなると考えているよ。


――レースの前のルーティンみたいなものはありますか?


 そんなにないね。フォームの確認をするくらいかな。特別なルーティンがあるというわけではないよ。あえて言えば音楽を聴くことくらい。ウオームアップの時にはずっと音楽を聴いているよ。


――音楽はどんなものを聴きますか?


 ヒップホップだったりゴスペルだったり、時にはロックもちょっと聴いたりするよ。ただ音楽は何でも聴くんだ。インストゥルメンタルを何時間も聴くこともある。音楽を聴く時はただ聴くというだけではなくて、その曲を作った人がどういった意味を込めて作ったのかなどを考えながら聴いているよ。


 レースの時はなるべく楽しみたいし、トラックに出た時に自分が持ちうる最大のエネルギーを発揮できるようにしたい。だから音楽を聴くことによって自分を興奮状態に持っていくんだ。


――レース中、何か意識していることはありますか?


 フォームだね。なるべく背筋をまっすぐ伸ばして走るようにしています。背筋を伸ばして走るというのが僕のコーチの教え。腰回りに力を入れて正しい姿勢で走ることが大事なんだ。

永塚和志

1975年、茨城県生まれ、北海道育ち。英字紙『ジャパンタイムズ』記者で、プロ野球やバスケットボール等を担当。日本シリーズやWBC、バスケットボール世界選手権、NFL・スーパーボウルなどの取材経験がある

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