卓球をもっと知るためのQ&A〜ルール編〜

月刊『卓球王国』

卓球にもイエローカードとレッドカードがある

卓球にもあるイエローカード。国際試合では比較的出やすいとされる 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 サッカーと同様、卓球にも「イエローカード」と「レッドカード」が存在する。卓球では、試合中に汚い言葉を発する、フェンスを蹴る、試合進行をわざと遅らせる、審判の判定に長時間抗議するなど、対戦相手や観客に不快感を与え、競技の進行を妨げて品位を落とすような行為は「バッドマナー」とされている。

 こうした行為に対し、審判はまず「警告」としてイエローカードを提示。さらに行為が続くと、イエローカードとレッドカードを同時に掲げ、対戦相手に1ポイントが入る。

 これは試合をしている選手だけでなくベンチにいる監督、団体戦の場合は応援する選手にも適用され、試合のポイントには加算されないが、レッドカードが提示された監督、選手はベンチから「退場」となる。あまりに行為が悪質な場合は一発でレッドカードが出されることもある。

 言語、文化の異なる国際大会では、本人にその意図がなくとも応援が「バッドマナー」とジャッジされてしまう場合もあり、過去には2016年リオデジャネイロ五輪団体戦準決勝での石川佳純(全農)など日本選手が退場させられたケースもあった。

「促進ルール」はどんな時に適用される?

カットマンの試合で適用されることが多い「促進ルール」 【写真:田村翔/アフロスポーツ】

 ラリーが長く続く傾向にあるカットマンの試合で適用されることが多いのが「促進ルール」。このルールは次の2つの条件下で適用される。1つ目は各ゲーム開始から10分が経過しても、そのゲームが終了しない場合。そして2つ目は、両方の選手から促進ルール適用の申請があった場合だが、こちらのケースはめったにない。

 促進ルールが適用されると、サーブは通常の2本交代から1本交代となり、1回のラリーでレシーバー側が13本目を返球すると、レシーバー側の得点となる。つまり、サービス側は13本目までに得点しないといけない。返球の回数については、ラリー中に副審判が英語でレシーバーの返球回数を口に出してカウントしながら試合が行われる。

 促進ルールが生まれる前、1936年の世界選手権団体戦では、両チームの選手が安全な返球を繰り返し、試合が深夜に及んでも終わらず、いったん休止。別日に続きを行い2日がかりで決着がついたこともある。

「違反サーブ」と注意されてしまうのはどんな時?

細かくルールが設定されている卓球のサーブ 【写真:田村翔/アフロスポーツ】

 卓球のルール上、もっとも規則が細かいと言われるのがサーブ。まずはしっかりと広げた手の平の上でボールを静止させ、ボールを真上に16センチ以上トス。この時、指の上にボールを乗せる、トスの際に手が台より下に下がる、ボールを斜めにトスするのはダメ。トスを上げた後、すぐにボールを乗せていた側の腕を引くが、ラケットとネットの両端を結んだ三角の空間に腕が残ってはダメ。落ちてくるボールを打球する際、トスしてからラケットで打つまで、ボールを体や衣服で隠してはいけない。

 サーブがネットに当たった場合は「レット」で得点にはカウントされず、やり直しとなる。ここで紹介したのは大まかな部分で、さらに細かい規則もある。それ故にサーブに関して審判から注意を受けることが多い。

試合中に足がけいれんしても中断できない?

石川佳純はリオ五輪で試合中に足を痛めインジャリータイムを申し出たものの、認められなかった 【写真:中西祐介/アフロスポーツ】

 スポーツにおいて、競技中のケガは避けては通れないもの。卓球では競技中に転倒するなどして、ねんざや外傷を負った場合、一時的に試合進行が不可能と審判長が判断すれば最大10分の治療(インジャリータイム)が認められることがある。また、鼻血など競技者が出血した際も、競技を中断して手当を行う。

 その一方、選手の健康状態の変化、疲労などが原因で足をつった、けいれんを起こしたというような場合は中断は認められず(数秒で終わる処置なら認められる場合もあり。また、ゲーム間であれば治療は可能)、試合を続行できない場合は棄権となる。16年リオデジャネイロ五輪では石川佳純が足に違和感を覚えてインジャリータイムを要求するも、ゲーム中だったため認められず、そのまま試合を続行することとなった。

試合前のラケット交換、選手は何を確認している?

試合前、選手は必ず相手とラケットを交換する 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 卓球では試合を始める前に対戦相手とラケットを交換し、確認することができる。選手はここで相手がどのような用具を使っているのかをチェックし、ラバーの特性や性能から情報を得て、プレースタイルや球質を予想して戦術やプレーに反映させていく。試合開始前に、審判はルールに合致しているか選手のラケットを確認し、OKが出たラケットのみ試合で使用できる。

 ここで使用不可とされた場合や、試合中にラケットを台にぶつけるなどしてラバーが破れた場合は、ほんの少しであってもラケットは交換しなければならず、中にはチームメートから借りて出場する選手もいるが、ほとんどの選手はスペアラケットを用意して試合に臨む。卓球は小さなボールを扱う繊細な競技だけに、用具が結果に与える影響は大きく、深いこだわりを持っている選手も多い。
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