「黒船」ONE Championshipが見せた日本への敬意と本気度

長谷川亮

周到な準備、醸し出す国際的ムード

初の日本開催でトリを締めた青木真也 【写真提供:ONE Championship】

 2011年にシンガポールで旗揚げして以来、ONE Championship(ONE)が初となる日本大会を3月31日、両国国技館で行った。スタート当初から日本人選手が多く参戦したONEだが、昨年からキックボクシング部門が始まり、トライアウトの実施やAbemaTVとの提携など、近年出場する日本人ファイターがますます増加。満を持しての日本初上陸となった。

 ONEが日本大会開催を明らかにしたのが昨年の春。時を同じくして休止となっていたAbemaTVでの大会中継も再開となり、全大会の放送だけでなく、AbemaTVからの要望を受け各大会に日本人ファイター2名の出場が確約されることとなった。そしてAbemaTVとの連携を強めて以降、内藤のび太が王座奪還(18年5月)、V.V Meiと長谷川賢もタイトルマッチで激闘を演じ(18年5月と6月)、青木真也は連勝(18年5月と7月)と、それぞれの戦いがONE自体の認知を高めた。

 そうした助走を経て、8月に日本大会の開催をパークハイアット東京(新宿)で華々しく発表。今年1月にも直前ではなく2カ月の余裕を持ってアンジェラ・リー、デメトリアス・ジョンソン、エディ・アルバレスと主力3選手の公開ワークアウトを行い、大会への期待を高めた。こうして振り返ると、ONEが初の日本大会へ向け慎重に準備を重ねてきたことが分かる。

28日の公開会見には多国籍な人々が集った 【写真提供:ONE Championship】

 そしていざ日本大会の行われるファイトウィークとなると、会見には国内メディア30名に対し海外メディアが約100名と多く訪れ、否応なしに国際的ムードが醸し出される(余談となるが、大会時メディア用の弁当としてプレスルームには肉・魚以外にビーガン用のものも用意され、多彩なバックグラウンドを持つ報道陣への配慮が見られた)。場内も超満員札止めの観客であふれ、眼前に広がる巨大な入場ゲートに圧倒される。

 またVIP席は15万円と高額となったが、アリーナ1列目、グッズ、バックステージツアー、VIP入場(レッドカーペット)、出場選手/リングガールとの写真撮影/ドリンク・フィンガーフードサービス付きと趣向が凝らされており、大会の格式を高めるのに一役買っていた。

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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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