「君は、八村塁を見たか!」 田臥勇太の衝撃から14年…歴史が変わる
世界観が根底から覆されようとしている
八村は日本バスケの歴史を変える可能性を秘める。従来の日本人選手とは別格だ 【Getty Images】
田臥が模索を重ねた上で、NBAへの道がそこにあることを示した。その後、他の選手も続いた。アメリカの大学に留学して、チャンスをうかがう選手さえ現れた。そしてついに昨年、ジョージ・ワシントン大を卒業した渡邊雄太が、ネッツと契約してサマーリーグでプレー。その後、グリズリーズと2WAY契約を交わすと、10月27日(現地時間)、NBAの試合に出場するという新たな足跡を残している。田臥が初めてそこに立ってから、14年が経っていた。
ただ、渡邊にしても契約上、今季はNBA での登録日数が45日まで。ベンチ入りしても役割は限られる。今後の保証もない。
結局、木の枝に引っかかった風船を取ろうと、何度もジャンプをする。指先がわずかに触れるも、つかむには至らない。そのもどかしさをこれまで、どれだけ多くの日本人選手が味わってきたか。
それがNBAとの距離感でもあった。
ところが今、そんな世界観が根底から覆されようとしている。
ぬうっと後ろから伸びてきた手が、腕を伸ばしただけで、ひょいっと風船をつまみ上げてしまった。
見上げればそこに八村塁(ゴンザガ大)――。
おそらく彼は、今年6月のドラフトで1巡目――しかも10位以内に指名されるだろう。
これまで日本人選手がNBAでプレーするとしたら、まずはサマーリーグのロースターに入り、実績を上げてトレーニングキャンプに参加。そこでさらにアピールして、というのがひとつの流れだったが、もうその必要はない。1巡目で指名されれば、向こう2シーズンの契約が保証される。スタメンを勝ち取れるかどうか。そういう争いを、彼はするのである。
もはや、次元が異なる。別格なのだ。
とはいえ、八村もここまでさんざん挫折を味わった。悩んで、悩んだ。逃げ出したくもなった。しかし、その度に足を踏ん張った。下がらなかった。
ここへ至るまで、八村はどんな道を歩んできたのか。じっくりたどっていく。
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第2回:八村塁の後悔「こんなに大変だったとは」 それでも…バスケの神様は見ていた
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第3回:八村塁の運命を変えた親友の熱意 “しつこい”勧誘に負けてバスケの道へ
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